第11話
いきなり癌が見つかったなんてお母さんには言うことが出来なくて
色々と検査するみたいだから少し入院するんだって、とお父さんはお母さんに言っていた。
でも、検査ばかりで、中々退院の目処がたたない日々…
段々とお母さんもおかしいなと思ったのかある日直接お医者さんに聞いたらしいんだよね。
聞いたときのお母さんの気持ちはどんなだっただろう…
何を思った…?
辛かったよね。
それでも私には辛い顔を見せずにいつも通りのお母さんだった。
心配させたくなかったのかな。
前向きに治すぞー!っていうかんじだった。
強いなぁ…
いや…強くなんかない。
私達の前では暗い顔を見せたくなかったのかなぁ。
落ち込んでても仕方ないと思ったのかなぁ…
お母さんは頑張って立ち向かおうとしている。
お母さんが一番辛いのに頑張ろうとしてるんだから私達は暗い顔をしていちゃダメだよね。
死んだらどうしようなんて不謹慎なこと考えてたらダメだよね。
治る可能性がある。
私はいつも通りに接したし、前向きな言葉をたくさんかけたりした。
そして、言葉だけじゃなくて文字でも伝えたいと思って
辛いことがあった分、絶対にいいことがある
治ったら旅行に行こうね
これからどんどん良い方向に向かっていくよ
そんなようなことを紙に書いてお母さんに渡した。
少しでも前向きな気持ちでいてほしくて。
辛いときとか私がいないときに見てほしいなと思って。
そしたらお母さんはその紙をベッドの横に貼ってくれていた。
嬉しかったな。
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