第5話
月日が流れて幼稚園を無事に卒園し、小学生になった。
新しい環境で緊張したけど、勇気を出して
「友達になろう」って声をかけて友達を作ることが出来たし、担任の先生も明るくて楽しい人で大好きだった。
楽しい毎日を送っていたし、家に帰ればお母さんがいるから甘えられる。
幸せな日々。
でも、私が三年生くらいになる頃かな。
お母さんが仕事をすることになった。
仕事を始めてもいつも通りのお母さんなんだけど、何故かその頃からお母さんの身なりが少しずつ派手になっていったんだよね。
ハイヒールに膝上のミニスカート。
濃いピンクの口紅にグレー系のアイシャドウのメイクが定番だった。
派手なお母さんを見るのはこのとき初めて
だったから驚いた。
派手なお母さんに変身してるときはなんだかお母さんがお母さんじゃないような不思議な感覚になった。
ある日、美容院帰りのお母さんと駅前で待ち合わせしたときには、
派手なパーマをあてた姿で「ゆりー!」とこっちに向かって歩きながら笑顔で手を振ってきて…
見た目があまりにも派手すぎて恥ずかしくなって控えめに手を振ったことを今でも鮮明に覚えてる。
そしてあるときは階段から落ちたと言って何故かグラサンをかけて帰ってきたお母さん。
あとから知ったけど、その時、目の整形をして目が腫れていたからグラサンをかけてたみたい。
今思えばそんなのバレバレでおかしな話だけど、当時、疑うということをまったく知らなかった私は、本当に階段から落ちたんだと信じていた。
でも、階段から落ちた割にいつもの元気なお母さんだったから大丈夫で良かったと呑気に思っていたんだろう。
どんどん派手になっていくお母さん。
その姿を見た友達にはバーのママみたいと言われる始末。
私には海苔の販売の仕事をしてると言っていたけど、あまり良くない仕事をしてたのかなぁ…って思う。
海苔の販売にしてはかなり派手な身なりだし、誰からもらったのか分からないけど、スワロフスキーとかバッグとかいただきものが多かった。
ーーお母さんはどうしてこんな仕事をしなきゃいけなかったんだろうな……ーー
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