第3話
私は人見知りな性格だけど、仲良くしてくれる友達が何人もいた。
そして家族みんな仲良し。
のびのびと過ごしていたし、毎日色んなことがあって楽しかった。
そんな平凡な毎日を送ってたある日のこと。
私が4歳くらいの時だったかな
家が木製で古いってこともあってなのか、家の中にシロアリが大量発生した。
業者に来てもらって駆除してもらったけど、しぶといシロアリは中々いなくなってくれない。
お風呂場の近くに大量発生したんだけど、見る度に気持ち悪かったのを覚えてる…
シロアリがいるし、家もだいぶ古いっていうことで引っ越そうかという話になった。
何に応募したのかは分からないけど、
ある日、見事千葉の団地が当たったらしい。
引っ越すって聞いて、そのとき私は寂しいとか嬉しいとかそういう感情はなかったな。
他人事みたいに
ふーん、そうなのかぁぐらいに思ってたと思う。
そして引っ越す日だったかな、最後に幼稚園に行って挨拶をしたり、家の前まで仲の良かった友達とその親が見送りに来てくれた。
嬉しかった。
そっか、これで最後なのか…
もう会えないんだろうなぁということをやっとこのとき実感した。
そして最後の挨拶をして車の後部座席に乗る。
ふぅ...
車が動き出して後ろを振り返ったらみんなが道に広がって手を振ってくれている。
温かい光景。
みんなが小さくなっていく···
私は見えなくなるまで手を振った。
見えなくなって前を向いたとき、じわじわと寂しい気持ちが込み上げてきた。
みんな温かかったなぁ...
ーーこのときに車内でお父さんが好きなサザンの曲が流れてたんだ。
そのメロディが頭の中に残っていて、今でもその曲を聴くとあの日の景色や気持ちを思い出す。
「ミス・ブランニュー・デイ」という曲なんだけど、聴く度に胸がキュっとなる...ーー
あぁ...埼玉での暮らしは平和で本当に楽しかったなぁ……
幸せな思い出がたくさん詰まった場所。
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