書いた本人が物語を完結させる――これ以上の責任の取り方、ある?
- ★★★ Excellent!!!
38歳の冴えない小説家志望が、自分の書きかけWeb小説『終末のラトハノア』の世界へ転生。しかも主人公ではなく「聖女アイシャ」という、書いた記憶すらないキャラクターとして目覚める――
自作小説への転生というメタ構造が斬新です。書いた設定と「実際」が微妙に違う戸惑い、自分で生み出したはずのキャラたちとのギャップ、そして何より、ラストが決まらず放置していた物語を、今度は中から完結させなければならない使命感。
38歳男性が少女の姿になり、知ってるはずなのに違う展開に翻弄される主人公。サイラスとの微妙にすれ違う関係性もリアルで切ない。現実世界の美咲との別れ、「世界を救う」という重責、そして書けなかった"あの結末"に、どう向き合うのか。
これは「書く」ことへの覚悟を問う物語なのかもしれない。未完で投げ出した物語と、再び向き合う勇気――