第4話 

「レモン!レモン!どこにいるの⁉︎」

わたしは声を張り上げて校庭に向かって叫んだ。

でも,誰もいない校庭は,しんとしていて,自分の声がこだまして帰ってくる。

ついさっき。昼休みに,レモンが消えちゃったんだ。

それに,クラスメイトも一気に気を失っちゃったの。

いや。クラスメイトだけじゃない。全てのクラスメイトが気を失ったの。

「奏!剣!レモン,いた!?」

2人とも力なく首を振った。

「でも,あることに目星はついたよ」

「あること?」

「ああ。実は…………っ奏。やばいな」

「うん」

剣は途中で言葉を止めて,奏に合図を送る。すると,奏が焦ったように身を乗り出した。

「ッレモン!昨日のルーズリーフとペン持ってるか⁉︎」

「えっ…ルーズリーフ…机の中…」

「じゃあ戻るよ!奏!足の遅い真美をよろしく!俺は先に戻ってレモンの様子を見てくる!」

そう言って剣は走っていってしまった。

足の遅いってのも気になるけど…!

「奏!どういうこと!?レモン,教室にはいなかったよ‼︎」

そう。さっきレモンは消えちゃったよ?

「いるんだ!教室に闇1族が!きっとみんなの闇を集めて,レモンをとらえようとしてる!」

ウソ…

っていうか,いつのまにか奏におぶられてるし!

「奏!なんでレモンなの⁉︎」

「神の子だったんだ…レモンが…あいつの目。あいつ,ちっちゃな頃からたまに痛そうな表情見せてただろ?きっとあの茶色い瞳はカラコンだ!朝,レモンの赤ちゃんの頃の写真,神の子が持つ,薄い赤と濃い黄色だったんだ」

レモン…うそついてたの?

「真美!急ぐぞ!口開けるなよ!」

「んん!」

わたしは口を閉じて頷く。

それよりもレモン…無事でいてよ!

わたしは必死にそう願った。

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