第4篇 その場しのぎ6
271
目の前にアンパン一つ、水一つ。入れるところはどこにもない。いつまでも手に取っておく。
272
気を使われること、心苦しく視線を背けて見る空は憎らしいほど透き通り。
273
車に揺られる重たい空気に全部もたれてみれば、覚えていないゆりかごのよう。
274
誰ともなくゆっくりと母のことを口に出す。逃げられない、逃げてはいけない、そう思うたび深呼吸。
275
目の前で何もできずに見てただけ。もしも、と浮かぶたびに誰かの言葉を耳から押し込む。
276
二度と帰ってこないもの。私の過去は終わってしまって、目の前にあるのは空箱だけ。
277
窓の外、瓦礫の山と人の形をした群れと。反射する私の顔もからっぽで、人を求めて目が動く。
278
まるで嵐のようだとテレビで言う。そう嵐だよ。みんなの心のよりどころ、まとめて吹き飛ばされている。
279
何も知らない私と何も知らない周りの人、何も知らないソラが広がり、すべきことすら浮かばない。
280
ふと鳴ったスマホを手に取り、アラームか。未読の通知に気が付いて、ついに瞼からあふれ出る。
#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって
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