第4篇 その場しのぎ7

281


狭い部屋、私と母と見えないようにソラがいる。真っ白な布が一枚、私を守ってくれている。



282


ひりひりする両目を細めて蛍光灯の明りに耐える。今はまだ足音だけが響いてる。



283


長テーブルに私が一人、目の前に冷めた弁当、濡れたお茶、いびつに割れた割り箸を添えて。



284


あの時何が起こったのだろう。考えている暇もなく私はやれることをした。知ってるのはソラ一人。



285


ごめん。頭の中に響く声。今はうかつに動けない。きっと知られてはいけないことだから。



286


代わる代わるやってくる、いろんな人の問いかけを分からない、で押し通す。気持ちはどんどんすり減っていく。



287


私の身元を保証する人はだれか、とふと思う。父はいない、母は起きない、祖父母は夏しか帰ってこない。



288


通された部屋は仮眠室。掃除はされているけれど、居心地の悪さはそのままで。不自然なシーツの上に転がって。



289


何があったの、と心の中で問いかける。きっと届いてるはずだから。



290


ごめんなさい。もう一度弱弱しく聞こえる声。謝るのはもういいよ。どんなことでもとりあえず聞くから。





#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって

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天に瞬く光となって 劇団騎士道主催 @theatre_kisido

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