第3篇 崩壊3

171


やっとつながるスマホの中は津波のようにかき乱れ。スピーカー越しに聞こえる鼻すすり。



172


帰り着く家はいつもと変わらない。出迎える母のぬくもり感じつつ、不穏なテレビの調べを耳に。



173


伸びきったふくらはぎを手でさすり今日のことを思い返す。ソラは私に寄り添って、言いたいことはわかってる。



174


スクロール、するたび出てくる不穏な情報。駆け巡る偽りだらけの真実にほんの少しだけ優越感。



175


もしもまたあんなことが起こったら。そこまで口に出して気づく。小刻みに揺れるソラの小さな体。



176


金属の冷たさの中にある冷たいもの。何もかも失う思いに苦しんでたどり着いたのは私の胸。



177


かける羽織が見当たらない。凍える思いに身を寄せて、そうすることしかできない自分がもどかしい。



178


逃げ惑う私の背後に迫りくる、黒くて大きな影の群れ。息が切れ体が熱くなっていてもただひたすら走り続ける。



179


止まらない後悔が津波のように押し寄せる。心にのしかかったものが私のすべてを黒染めに。



180


目を覚まし、胸の上には目を閉じて子猫のようなソラがいて、私は私を嫌悪する。



#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって

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