第28話~打ち上げ~

俺と師匠は打ち上げ会場へ向かった。

「天馬さんっ!」

「どうした?」

「鍵を返しに来たのと、打ち上げに参加しに来ました」

「ん……鍵は返さなくていいぞ」

「え?」

「あれはお前が1位から降りるまで、お前のものだからな。打ち上げは参加して良いぞ~」

「わかりました……?」

鍵って持ってていいんだ……

「じゃあ、全員そろったし、打ち上げ、再スタートしようか~」

そして、天馬さんが言った。

「五大幹部、引退&任命お疲れさま。乾杯」

「かんぱ~い」


カチャ


グラスを当てる音がする。そして、天馬さんが聞いてきた。

「新、序列1位サマ。何か一言お願いします」

「……お、俺ですか?」

「そう。」

「えっと……え……これから、よろしくお願いします」

「よろしくね、お義兄ちゃん」

飛鳥が答えてくれた。

「うん」


そんなことをして、歳を考えずにバカ騒ぎをして、夜は更けていく。


夜、家に帰ったのは11時を回っていた。

飛鳥は時間を見て早めに帰った。

自分で言うのもなんだけど、不良だ……

「た、ただいま」

家に帰るとリビングの電気がついていた。

そこには父さんが座っていた。

「桐流。何時だと思ってる」

「え……っと」

尊が、存在していたら尊と遊んでたって言える。でも……

「尊と……」

「尊?誰だそれは?」

「なんでもない……」

尊は存在自体がなかったことになっている。

「しっかり言え。男だろう」

……男だから何?隠し事をしちゃいけないの?暗殺者やってること言ったら、どうせ怒るんでしょ?人を殺して、お金をもらう仕事。

でもこの仕事をやってるから、ちゆのことを忘れられないでいるし、尊と最後にしっかり話せた。俺にとって、暗殺者はただ人を殺す仕事じゃないんだよ。

だから、俺は嘘を吐く。

「父さん、俺、今日……」

そして、どうしたらと考えた。その時


ピンポーン


玄関のインターフォンが鳴った。

「こんな時間に誰だ」

父さんが怒りながらインターフォンに向かった。

俺はその背中越しに誰がきているか見た。

そこにいたのは、神楽さんだった。

「ぁ、神楽さんっ!?」

「なんだ?知り合いなのか?」

といって玄関に出た。

父さんが少し離れた間、神楽さんに聞いた

「神楽さんなんで来てくれたんですか?」

「いや……あんな時間に帰ったから大丈夫かなと、つい……」

「ありがとうございます。助かりました」

そこに父さんが戻ってきた。

「桐流さんの、お父さんですね。初めまして、神楽と申します」

丁寧だ……

「はぁ」

「夜分遅くに失礼します。今日桐流さんを夜遅くまで連れまわしたこと失礼しました」

「桐流。この人と遊んでたのか?」

「あ……」

「違いますよ。飛鳥の近状を教えてもらってたんです」

「飛鳥の?」

父さんが固まってる!

「父さん、神楽さんは飛鳥の元父親さんだよ」

「あぁ、そういうことですか、すみません」

「じゃあ、俺はこれで」

と言って、神楽さんは帰った。

「桐流、これから遅くなる時はいうんだぞ」

「うん」


怒られなくて、よかった……

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