第78話

ーーーーーー……。

コイツらとの出会いは、そう。

あの事件の後だ。




「…………あ…、あーー、あーーーーー………………」




耳が変だーーー。





CYBER BOXXの事件の後、俺はすぐそばの病院に運ばれた。


安全靴で蹴られた為に、ショックで少し気絶していたらしい。


目が覚めたのは次の日の朝。





「あーーー………」






ゴォォと、耳の中は風の音がした。





………マジか………。






諦めたようにひたいを両手で覆って、俺はナースコールを押した。






「あぁ、やはり、鼓膜が破れています」




耳の不調を訴えると、検査をした医者にそう告げられた。





「……あの、音楽やってるんですけど……」


「大丈夫。少し欠損しているけど、鼓膜は再生するものだから、治りますよ、必ず」





かなり腹を蹴られていたようだ。多少血を吐いていた事の方が医者は心配したようで、俺は検査の為に一週間程入院する事になった。






「あっ…痛たたた…、力入んねぇー……」


「車椅子に移れますか?レントゲン室に行きますよ」


「あ、はい……、うぅ…看護婦さん、なんか気分悪い……」


「あら…トイレ行きましょうか?」




俺と同じ病室に、同じような歳頃のやつがいる事に気付いた。


優しそうなおばさん看護婦が、心配そうにソイツの背中をさすっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る