第58話
またライブの日にな、と別れる俺たち。
「何か、シドってすげーまともな人間じゃね?俺らなんかよりよっぽど」
「ふっ。そうだな?」
俺は、ルーキーが自分が思っていたよりも人間らしかった事に
満足していたのかもしれない。
ーーー後悔した。
「ーーー……」
冬休みも終わり冬も深まったその日、俺は学校の誰もいない体育館のステージでギターを片手に歌っていた。
「ハルの声ってさ、自由だよね」
一緒に授業をサボっていたBlessのメンツが寒そうに缶コーヒーを啜りながら言った。
「え?どういう意味?」
俺の問い掛けに、もう1人のメンツが頷いた。
「分かる。自由なんだよ。解放感があって、明るくて温かくて、幸せなんだよ。天使の歌声なんだよ、仲間だからとかじゃなくてさ。人を幸せに出来る声だよ」
気持ち悪いななんなんだこいつら。
「ありがとう」
……本当はめっちゃ嬉しいけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます