第57話

場所を変えて、俺は橋戸巧に説明を始めた。



「橋戸さん。俺たちがあんたを訪ねたのはさ、あんたをあーいうトラブルから引き離す為だったんだけど。早速宮前が現れて、先が思いやられるよ」


「ハル?それ本人に伝えて良いのか?」


「……俺たちが感じてる事が当の本人たちに感じられない訳ない。俺はハル。こいつはカイっていいます。…よろしく」



俺の会釈に、橋戸は困惑気味だ。





「まぁ、つまり、簡単に言うと、橋戸さんたち2人に、気を付けて下さいって、言いに来ただけです」





だいぶ簡単になってしまった。と苦笑する俺。





「あぁ。…ありがとう。レオにも言っておく」


「……よろしくお願いします」


「……敬語やめてくれ。名札に3年って書いてあるけど、俺も3年なんだけど……」


「あんたらは高3でしょう?じゃあ、あんまりS.R.Cの縄張りにいても危険だし、俺らは帰るよ」


「俺中坊だし」


「嘘良いから。あ、橋戸さん聖夜のイベ来ますよね?その時にまた会いましょう」


「中坊だっつーの!!!」



橋戸巧がそう叫んだ。余程老けて見られたのが嫌だったんだろう。…本当に中坊なのか。




俺とカイは、橋戸に親しみをこめてシドと呼ぶ事にした。

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