第47話

時は流れ、俺は中学3年の冬の始まりを迎えていた。




「うーん。受験勉強ってマジだりぃわ!」


「俺んちさぁ?県立受かれねぇなら働けって。良いよなぁ?ハルは私立単願かよー?」


「お前ら俺をナメるな!俺は県立を受けるとリサコとミツルに言った!だけど、やめろって言われた!馬鹿なんだから悪あがきすんなって!」


「ぎゃはは!なんなんだよお前んち!!」




ファミレスで放課後を過ごすのは、寒くなってからの日課になっていた。Blessのメンツの2人は悪あがきと言わんばかりに過去問を解いていたけど、俺とカイはそんな2人の正面に座って談笑しているだけだった。




「カイ?お前頭良いんだろ?勉強教えてくんねぇかな?」


「あー、俺で良いなら…」



窓の外を眺めて煙草を吸っていたカイが、メンツの言葉に振り返る。




「英語か。英語は土台がなってないと応用は難しい。逆に単語さえ知ってればなんとかなる」



そんな事言いながら、カイはサラサラとシャーペンを走らせノートの切れ端に答えを書いて見せた。




「すげー…!カイ、そんなお前が高校行かないなんて、もったいないな?」




俺の言葉に曖昧に笑って、カイは煙草の煙を吐き出した。





平和だった。カイはBlessにこそ入るとは言ってはくれなかったが、



カイとメンツと過ごす日常は、毎日が楽しくて仕方がなった。

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