第15話 美女豹変
雅姫から、彼のことで折り入って相談に乗ってほしいとの連絡があり、「私なんぞでよろしかったら」とご返事をした。
その晩、お酒と肴を抱えて、姫様が俺の部屋を訪ねてきた。
まずはお持たせの白ワインで乾杯。早速、彼女の恋人の山室圭介さんの相談、というか愚痴が始まった。
「司法試験に受かったら結婚しよう」そう勢いよくプロポーズしてくれたのはいいけど、試験に落ち続け、ここ一年はほとんどほったらかしにされているらしい。
「あっちの方も、もう一年以上ご無沙汰なのよ。信じられない」
杯を重ねる毎に、下ネタを交えた彼女の愚痴はヒートアップ、お酒の方もピッチが上がっていった。
「お父様の秘蔵の純米吟醸酒、勝手に持ってきちゃった」
冷酒をグラスでぐいぐいとあおる雅姫。
「ねえ、聴いてる? それで彼ったらさ!」
明らかに酔っぱらって、もはやまともに話ができる状態ではなくなってきた。
「姫様。お気持ちは分かりますが、そろそろお酒はおやめになった方が」
水をお持ちしようとすると、それを制し、腰を上げた。
「お手洗い、お借りするわ」
ほどなくトイレの方で派手な音がした。あわてて駆け付けると、姫様がジーンズを膝まで下したあられもない姿で床に転がっていた。
どうやったらこんな格好になるのか、上半身はドアの外、足は便器と壁の隙間に挟まり、タイトなジーンズを脱ぐことも、立つこともままならない様子で、「もれちゃう、助けて」と情けない声をあげられている。
俺は彼女をトイレから引っ張り出し、彼女のジーンズを脱がすと、身体を支えて便座に座らせてあげた。
よほど切羽詰まっていたのか、ドアも閉めずに下着を降ろす姫様。俺はあわてて後ろ手にドアを閉めた。
ドアを閉めるか閉めないかのうちに、大きな安堵のため息とともに放尿の音が聞こえてきた。よっぽど切羽詰まってたんだなー。
ところが、いつまで経っても姫様はトイレから戻ってこない。
様子を見に行くと、気持ち悪いと便座を抱えていらっしゃる。
「大きく口をあけて、そう、全部吐いてしまいましょうね」
背中をさすりながら促すと、姫様は驚くほど大量の嘔吐された。
その吐しゃ物は広角度に飛び散り、姫様と俺のシャツや身体を汚した。
「胃の中のもの、全部吐いてしまいましょう。楽になりますよ」
俺は彼女の口に指を入れ、胃の中のものがなくなるまで彼女を介抱した。
全てを吐き終わると、彼女は全く動かなくなった。
げろまみれのまま寝かすわけにはいかない。俺は、彼女を浴室へ連れて行くと、「失礼しますよ」と声をかけて衣服を全部脱がせ、椅子に座らせてシャワーで身体に着いた吐しゃ物を洗い、バスタオルを身体に巻いてベッドに寝かせた。
吐しゃ物で汚れた俺と彼女のシャツと彼女のジーンズと、転んだ拍子にちびってしまったのだろう、湿った彼女の下着も洗濯機に入れ、トイレを掃除し、自分もシャワーを浴びた。
ようやく寝室に戻ると、彼女は健やかな寝息を立てていた。
やれやれ、とんだ一夜だった。
疲れ果てた俺は、彼女の隣にもぐりこむと、たちまち深い眠りに落ちた。
俺は冴島さんに押し倒されて騎乗位で犯される夢を見た。そんなこともあるはずがない、すぐにこれは夢だと思ったが、夢にしては妙にリアルだ。
目を開けると、なんと、全裸の雅姫が、俺の上で、そのグラマラスな肢体を弾ませていた。
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