第25話 どうしたものか

 ◇自宅(マンション)


 俺は今迷っている。華蓮やソフィアにどこまで話すか。いや、話すべきなのだろうかと。


 鏡花の性格の悪さは前世の記憶で一応分かる。奴はイジメる対象の周りの人間にまで手を出す。下手に誰から構わず仲良くするのは危険、しばらくボッチがいいだろう。


 鏡花には妹がいると伝えているがソフィアが実家に住み着いている事や親しい間柄なのは伝えていない。


 なら妙に関わらせない為、ソフィアに伝えないでおくか?それとも伝えた上で関わらないでと説得するか?


 俺は前世の記憶のソフィアと今まで俺が接したソフィアを思い出してみる。んー、まぁ優しい女の子だな、それ以外だと美人以外特に分からねぇな………、成程これが俺のモテない理由か。


 とりあえず優しい女の子だから多分、俺のこと心配するよな。そして多分、俺を助けようとする。


「なら、詳しくは話せないな」


 俺の我儘で巻き込むわけにはいかねぇし。華蓮には全て話すか。俺の今の状況と、今後の行動について


 俺はそう思いスマホを取り出した。


「もしもし華蓮?しばらく飯はソフィアに作ってもらう羽目になる」


『は?』


 ◇全ての事情説明中〜


『………ふざけてる?』


「心配かける事になるな」


『はぁー、私が何言っても聞かないでしょ。どうしてこう言う時だけ頑固なの?ていうか、そう簡単に人は変わると思えないけど、ソースはお前』


「ああ、俺の手に負えないと思ったら逃げるよ」


『条件忘れないでよ』


「毎日必ず一回は顔を合わせる事だろ。じゃあな」


『ん』


 俺はそれだけ言って電話を切る。これにより華蓮経由でソフィアにも伝わるだろう。


「………ちゃんと考えないとな」


 俺はソファーにもたれかかり、目を深く閉じる。


 鏡花と話して分かったことがある。彼女の考え方が周りを不幸にするということだ。行動原理はさっぱり分からんが、彼女の為を思うなら性格を変えるべきだと俺は思う。

 解決策と言うか、俺の解決方法と言ったほうがいいな、それはもう最初から決まっている。

 ただひたすら真っ直ぐに鏡花という人間と向き合う、どこまで向き合うかは経過を見て決める。流石に華蓮達をいつまでも心配させる訳にはいかないからな。

 バランスを考え、自分にできる最善を尽くして鏡花という人間を変える。出来なけりゃ出来ないでその時考えれば良い。

 

 ――なら、その方法はどうするか?


 話しかけ続けるしか思いつかないな。まず人を変えるには、その人を知るべきだと思う。やっぱり鏡花をもっと知るべきだな。でも、話すにしても今の状況じゃ俺から近づくのはリスクが高い。生徒会長敵に回してるし。


 俺は自分のスマホにある鏡花の写真をスクロールして一気に見る。そこに何かしらヒントが無いか確かめる為だ。


「………さっぱり分からん」


 まぁ、今まで気付かなかった時点で薄々察してた。なら無意味に時間を使うのはやめだ、次の手だ。………周りを頼るか。いやぁー、こうゆう時ちゃんと周りを頼れるから俺は凄いよな!


 という自画自賛をしながら俺は適当に誰かに連絡する。


 ――プルッ


『どうしたんだ兄弟?』


 ――プツ


 ワンコール以内にでやがった………、思わず気持ち悪くて切っちゃったぜ。まぁ、取り直して電話かけよ。


『なぜ突然切るんだ兄弟?』


 今度はワンコールすら無く取りやがった。怖こいつ。


「あー、キモくて切っただけだ、気にするな。実は相談があるんだ」


『うーん、実に相談する態度じゃ無いね流石兄弟、元気そうで何より。それで相談とは?』


「鏡花がなんで俺をイジメるか理解ができん。教えてくれ」


『普通に考えて本人でも無いのにわかる訳無いだろ………この俺じゃなければ!』


「流石侑!気持ち悪さだけじゃ誰にも負けないぜ!」


『ハッハハハハハ…………殺すぞ?』


 俺は相談と同時に侑に鏡花の写真を送った。俺は分からなくても侑なら分かることがあるかも知れないからだ。鏡花に対する配慮に欠けるが、後で謝れば良いだろう。


『ふむふむ、報酬は先払いという訳だな?』


 何をどう解釈したら提供した写真を報酬と思うのか分からないが、都合の良い勘違いをしてるので、そのままにしておこう。これで後でなんか奢らんくてもいいわ。


「それで、鏡花が俺をイジメる理由何?」


『ふむ、まず兄弟人の行動理由はなんだと思う?』


「愛だろ」


『………まぁ、好きと言うのは立派な原動力だ。だがその他にも本能、復讐、快楽など色々ある。それを今までの行動から消去法で消して行くと色々と見えてくる』


「へー、結果は?」


『性癖だ』


 ――プツ


 よし、もう少しだけ自分で考えてみよう。

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