第4話
村が近くなる。
あぁ怖い。もしもバレたらと言う最悪な想定で頭がいっぱいになる。そうだ、今ならまだ間に合うラウェンに村には行けない事情を改めて説明して人のいない場所に身を隠そう。
絶対その方がいい。
「あぁラウェン?」
「何を震えているんですか堂々としてください。震えていたら逆に怪しいです。震えるくらいなら踊ってください」
「あぁラウェン·····私は踊りが得意じゃないんだ。違くて、あのねラウェン」
「踊りが無理ならば音に合わせて手を叩いたり腰を振ったりしてリズムにのってください」
あぁダメだ。ラウェンは前しか見ていない。私の声が届かない·····村に着くまでに早く事情を説明しなければ。取り返しのつかないことになったらー最悪の想定が脳裏に過ってしまう!。
「ん? これはラウェン僧侶。お仕事の終わりかな?」
「これはマギー。まぁそんなところです」
「そうか! そうか!。ラウェン僧侶がこの村に突然戻って来たからビックリしたがーその感じは目的は果たしたって感じかな?」
「はい」
「そんでさぁラウェン僧侶の後ろでオロオロしてんのはーうちの村の僧侶さんなのかな?」 とマギーが私を見つめる。
あぁ想定していた最悪がこんなにも早く起きてしまったー!。マギーは感がいいから物事を早く理解してくれる。それがマギーのいい所なんだが、今はそれが私の首を締め付ける!。
「まぁ確かにこの村に僧侶が必要か? って思うことはあるけどさ、それでも僧侶が身近にいることの安心感ってのは考え深いって俺は思うんだ。でさ、うちの村の僧侶が依頼の為って村を離れて二週間かな? 多分そんくらいの期間戻ってこなかったから少し、ほんの少しもしかしたら帰ってこないんじゃないか? って思ったことは伝えとかないとね」
あぁ言葉の節々に怒りの感情が見えてくる。マギーは絶対に怒っている!。 というか、二週間!? 二週間だって!? そんなにも村を離れていたのかッ。村に住む皆々様には多大なるご迷惑をおかけしたことになる!。
これは、今すぐにでも謝罪参りをしなければ!。いや、待て。今の私のこの姿で行ったら、魔物が襲いかかってくると言う絶望の瞬間を味わせしまう!。
だが、村の皆々様にご迷惑をかけたのは事実! どうすればいい? どうすればいい? どうすれば!!。
「マギーさんのおっしゃる通りです。今私の後ろで身を隠しているお方こそ、私の先生·····。いえこの場合はこの村のハナバナ僧侶です」
「やっぱりそうなんだ·····やっぱりねー」
「·····マギー様。この度は二週間という長い期間、村を離れてしまっていたことを謝罪申し上げます」
「·····その声本物みたいだね。そうだねー今俺から言えるのは帰ってきてくれてありがと。かな」
マギー様の優しい言葉が身に染みる。だが、言葉の節々から怒りが感じ取れる。それを押し殺してるかのようなあの笑·····さすがマギー様と言ったところでしょう。
マギー様は今にでも背中に背負った斧を私に向かって振り下ろしたいでしょう。それをしないでいてくれる彼女の心!! それに感謝しなければ。
「ラウェン僧侶、急いでるんでしょう? まぁ俺はまだハナバナ僧侶と話したいことがたくさんあるけど急いでるところは邪魔するほどの要件じゃないからーさ」
「マギーさんのこの寛大の心に感謝します。行きますよ先生」
「はぃ」
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