第7話 美夏は親友の緑子に執行役員の佐々木の件を相談

 美夏は執行役員の佐々木から呼び出されて役員室に行った。その時に佐々木から迫られて断ると、「今日は許すから今度の日曜日の十時にこの部屋で待っているから」と言われた。


「また来週の日曜の十時にあの役員室に来いって言われて、また辱めを受けると思うと私……佐々木の事は絶対に許せないと思ったの、会社の女性職員は風俗の女性じゃないのよ! と思ったから佐々木を懲らしめたいの。だから緑子、知恵を貸してくれない?」と美夏。


 「分かったわ。実は佐々木はうちの課長と役員室でしていたって秘書から聞いたの。佐々木は自分の立場を使って、部下であり一般女性の美夏を弄ぼうとしているのはどう考えたっていけない事だものね。美夏の気持ちは良く分かったから、私も考えてみるわ。やられたらやり返す。百倍返しよね!?」と言い不敵な笑みを浮かべ言った緑子だった。


 彼女は高校時代まではフロント企業頭脳を使った経済反社の社長の妾の娘だった事でヤンキーをやっていてグレていたがその後、その夫の他界で母親がその次の新たな普通の男性と付き合った事で、緑子はマトモになって大学を卒業し、美夏と同じ会社に同期で入社していた。


 ただ緑子は美夏と違って、出世欲が全く無かったので未だに主任でいた。そして緑子は美夏と意気投合してからというもの、親友として付き合い、飲んだ時などは緑子がグレていた時期の話しを良くしてくれていたので、美夏としては彼女に相談すれば、佐々木を懲らしめる名案が浮かぶのではと期待したからだ。緑子はその後、直ぐに話し出した。


「その日に私も一緒に行くってどうかな?」

「それでどうするの?」と美夏は心配そうに聞いた。

「美夏は佐々木の役員室にノックする前にこのICレコーダーのスイッチを入れて部屋に入るでしょ?」と緑子。

「うん」と美夏は心配そうに返事をした。

「その姿を私が写真を撮るの」と緑子。

「うん、それで?」とまた美夏が聞いた。


「佐々木は美夏に辱しめをしようとするわよね?」と緑子。

「うん」と美夏。

「美夏は、仕方ないから暫くは佐々木のしたいようにはされなくてはいけないんだけど、彼が行為をした、その時々を美夏は言葉に出して言うの」と緑子。

「どんな事、するの?」と美夏。


「例えば……佐々木が胸を揉んだ時には、美夏は『佐々木執行役員、止めて下さい!』や『服が破れてしまいます!』とか何でもいいの。襲われている感を出すの。その時には必ず佐々木の名前を出すの」と緑子。

「なるほど」と美夏。


「更には『佐々木執行役員、こんな神聖な役員室で……!』とか、佐々木がスカートを捲ったら、『そんなにされたらスカートが……!』などと、なるべく大きな叫び声を出せば録音機が声を拾うでしょ?」と緑子。

「なるほど」と美夏。


「そして二人は激しく揉み合い、その間に私は警備員室に内線して、『佐々木執行役員の部屋から女性の悲鳴が聞こえるんですけど! 見に行って頂けますか?』と言えば警備員はドアに鍵が掛かっていてもマスターキーで開けて入るでしょ?」と緑子。

「たしかに」と美夏。


「その現場を警備員にも見てもらうの。コレも凄い証拠よね? その頃は佐々木も美夏も服を脱いでいる状態だったら、私はその写真を撮るというのはどうかしら? 勿論、その時に居た警備員も私は撮っておくけど。それが成功したらもうコッチのものだと思うけど!?」と自信満々で緑子が説明をした。

「そんなに上手く行くかしら?」と美夏は心配そうに言った。


「上手く行かせるのが美夏の演技次第よ。佐々木に復讐したいんでしょ?」と緑子。

「うん、分かったわ。やってみるから」と美夏。

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