「夢を失って死んだ男が、夢を持った少年として生き直す物語」

少年漫画への憧れ→パラセーリング→事故、という流れがとても自然で、「空を飛びたい」という夢が単なる設定ではなく、人生を通した執念として描かれているのが印象的です。グアム旅行やインストラクターとのやり取りなど現実的な描写があるからこそ、落下のシーンと死の瞬間が重く、そして静かに胸に残ります。

転生後のパルム視点に切り替わってからは、世界観の作り込みが秀逸です。

ドラゴン信仰
ダンジョンの死骸処理利用という生活に根差した設定
職業制度や中央学園
家族関係や村の人間関係

どれも「異世界あるある」ではありつつ、ちゃんと生活臭があり、舞台が立体的に感じられます。特にダンジョンをゴミ処理・資源循環施設として使う発想は面白く、村の経済と結びついている点がリアリティを生んでいます。

主人公パルムの内面描写も好印象でした。
前世の人格に完全に支配されるのではなく、
「主体はパルムで、佐藤の記憶が影響している」
というバランスがとても良いです。

そのおかげで、
シルベスタへの冷静な嫌悪
親への気遣い
将来を考える視点

などが“精神年齢だけ高いチート主人公”にならず、ちゃんと10歳の少年の体と環境に縛られているのが説得力を持っています。とてもおもしろかったです。

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