第114話

子犬と藍川龍樹を支えながら目的地へと向かう。




雨は弱まる事なく僕たちに降り注ぐ。もう、濡れてない場所なんてないくらい冷たい雨が僕たちを侵食する。




髪から滴る雫が目に入り鬱陶しい。




「なあ、お前もなんで俺を助けようとしたんだ?

普通誰が呼びに行ったり、無視していくだろ?」




理由なんてない。だって、体が勝手に動いてたんだから。




でも、敢えていうなら、




「・・・風邪引いてしまうから。」




「ぷっ、なんだよ、その理由。」




そう言って笑う藍川龍樹はやっぱり噂ほど怖い人ではなさそうだ。




だって、風邪を引いたら大変だ。父さんが言ってた。

風邪は油断ならないって。




それに僕自身風邪で何度も酷い目にあっている。




「君はなんであんな所に居たの?」




特に話すこともなく話題を振ってみる。



「龍でいいよ。俺は伊織って呼ぶ。

伊織は面白いな。」




そう言われて笑われる。少しムッとすると、またあはっはっ。と笑われた。

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