第112話

「なんで笑うの?それに今の君は全然怖くないよ。

なんていうか、」



正直、噂で聞いたような怖さはなかった。怪我をしていたせいなのか、弱っているからなのかは分からない。



でも、なんていうかしっくり来る言葉がある




そう、



「捨て猫みたい。」




自然と口から出たその言葉に藍川龍樹はポカンと口を開け僕を見ていた。





「・・・ぷっ、あはっはっ。」




急に笑い出す藍川龍樹を見て遂に頭が可笑しくなったんじゃないかと心配になる。




「お前、変わってるな。あー、いてぇ。

あいつら手加減なしでやりやがって。」




動くと痛そうだ。それでも、ジャングルジムに掴まりながら立ち上がると僕の前まで歩いてきた。




「お前、名前は?

俺は藍川龍樹。」




うん、知ってるよ。そう思ったけど敢えて口には出さなかった。




「僕は桐生伊織。」




そう名乗ると伊織なと僕の名前を口にした。まだ、痛そうな身体を必至に保とうとしている藍川龍樹を見て自然と身体が動いた。

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