第111話

恐る恐る近付くと僕と同じ制服を着た男の子だった。よく見ると辺り一面は泥の濁った茶色とは別の赤色の水溜りができていた。



「ねぇ、大丈夫?」




こんな場面を見て無視することも出来ず声を掛けてみる。だけど、相手から返事はない。もしかして、死んでるのかもしれない。




そう思うと少し怖くなった。男の子はボロボロで至る所から血が出ていた。




「ねぇ、生きてる?」




もう一度そう声をかけるもの反応がない。




仕方なく肩を揺さぶってみる。




「ねぇ、風邪引くよ。」




「・・・うるせぇな。」




小さく呟かれた声を聞いて安堵を覚える。良かった、生きてる。




「何してるの?風邪引くよ。」




男の子が生きてるいることが嬉しくて声をかける。




余程、僕の声が煩わしかったのかゆっくりと顔が上がり視線が合う。その時初めて、あの噂の藍川龍樹だと認識した。




「・・・お前、うぜぇよ。

どうせ俺のこと怖がるんだろ?

弱ってる俺を見て笑うんだろ?」




そう言って弱々しく睨んでくる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る