第28話

「愚息で申し訳ありません。」



ほら、謝っている




父さんらしいよ



「でも、良かったですよ。

大切な息子がこんなちっぽけな会社のせいで潰されなくて。」




え、父さん




「この子はあんたみたいな人間に潰されるほど弱くない。

地位や金のことしか考えてない中身のない人間の下で働いても得るものなんてない。

2度と俺の息子に関わるな。」




明らかに怒っている



怒鳴ってはいないけど、いつもみたいに穏やかな声色じゃない




「子供があれなら親も親ですな。

ちっぽけな会社ね。余程素晴らしい会社に勤めていらっしゃるんですね。

低俗な人間ほど見栄を張りたがる。

桐生、次まともな所で働けると思うなよ。」




父さんを馬鹿にしたように言う




俺はいいけど父さんを悪く言われるのは腹が立つ




「なっ、父さんは、」




踵を返して父さんと部長の元へ行き食ってかかろうとしたが父さんに止められた




「お前と話しても意味がない。

もう一度言う、息子に関わるなら一切容赦しない。

こんな会社、潰してやるよ。」




ゾクっとするような殺気のこもった声




父さんの表情今まで見たことがないくらい冷たくて、鋭く部長を睨んでいた




それは、父さんが別人に見えるくらいだった

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