第38話
例え相手の行為に腸(はらわた)が煮えくり返っていても冷静さを保っていなければ 主を護れないからだ。ただ、ジョバンニの報告でエルンスト公の取り巻き風情に主を軽く見られたようで怒りを覚えたのも確かだが。この位で治める事が出来るなら、必要な傷かもしれない。
一つ事が起きたなら、続けて何かが起きるかもしれない。相手の情報も、内通者もまだしっかりと確定できたわけではない。…昨夜の出来事にもし良しとする事があるとするなら、俺に影としての本質を思い出させてくれた事だ。
感情で彼を護ろうとしていた俺に理性で主を護らねばならないという事を。
四半刻(三十分)後。
俺が着替えを終え主の部屋を訪ねると。
彼ももう起きていて、着替えも終えた様子だった。深い蒼色のドレスシャツに黒いニノ。髪は結わずに肩に流している。
とりあえず報告をする。
「キュレー伯か…」
「はい」
「あのひ弱な腰巾着が。だが、あれにそこまでの知恵があるとは思えない。今頃は伯に知恵を付けた者共々、腰を抜かしているだろうよ」
主の浮かべた微笑みはゾッとする程冷たいもので。
「後は内通者の割り出しか。慎重にやらねばならないな…面倒臭い」
「その事ですが、ティレージュ様」
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