5.~公爵家~花園の蛇《序章》

第37話

翌日の未明、ジョバンニは帰ってきた。

窓にコツンという小さな合図があり、窓をあけるとそこから続くベランダに片膝をつき、控えている。

「今、戻りました」

「ご苦労。中に入れ」

「はい」

「報告を。どうだった」

「あの者達が向かったのは…キュレー伯爵の屋敷でした」

「…やはり。それで?」

「奴等が屋敷に消えてから間もなく、手勢が王宮に向かいました。」

「…証拠を残すわけにはいかないからな」

「はい。…それと」

「どうした?」

「実は…」

「なに!?確かか?」

「間違いないかと」

「…ご苦労。上出来だ。…下がって暫く休め」

「はっ」

ジョバンニが俺の部屋の扉から廊下へ消えた後。まず俺の脳裏に浮かんだのは。

「キュレー伯、か」

痩せて眼ばかりギョロギョロしているその男は、エルンスト公の取り巻きの一人。昨夜剣を合わせた男達には一つの共通点があった。剣の技だ。貴族、王族を護る者はその家の流派に通じていないと勤まらない。

あの者達の剣技は…エルンスト公家に伝わる流派のもの。

すぐにわかった。それともう一つわかったのは襲ってきた刺客が剣の名手ではない事。だから。主と俺はわざと二人を生かしたのだ。

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