第33話

主は相変わらずの寡黙さで前をゆき、後ろを歩く俺も黙したまま付き従う。いつもながらの静寂。

けれど。その静寂は無粋にも破られる事になった。

「気づいているな、ルシアス」

前をむいたまま、主が発する低い、声。

「はい。およそ…六名ほどかと」

敵にさとらせないように数を探る。

静まり返った王城、深夜に帰宅途上のリューティーリア公爵家の総領息子、狙い定めた襲撃のようだった。

「王城内はまずい。馬車廻りに行かず裏庭へ出るぞ」

「はっ」

そして二人とも剣の柄(つか)に手はかけながら、殺気だけを消して刺客を裏庭へと誘い込む。

「よし!いいぞ、ルシアス」

「承知!」

すぐに身を屈(かが)め、横に飛び剣を抜いて一人目を倒す。

「グッ!」

そして振り向き様に二人目。

主はといえば、流れるような動きで一人目を倒し、二人目のみぞおちに拳を入れ、気を失わせたところだった。俺のほうも三人目を倒したが、四人目は首に手刀を入れ気を失わせていた。

「二人相手に六人か。随分と念のいったやり方だな」

戦闘中にいつの間にかほどけていた髪を、俺が差し出した替えのリボンで結び直しながら主は言う。

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