第27話

はっとしたようにお二人が会話をとめる。

しまった!という台詞がお二人の表情にありありと浮かんでいる。

お二人の欠点、それは多少口が軽く、軽薄に過ぎること。貴族の子弟としてはある程度許される範囲のものではあるのだが、アンジェリーナ様の宴への参加は最近。マルクス様とリヒャルト様は久方ぶりに今日の宴で揃われ、彼らの会話をアンジェリーナ様が聞くのはほぼ初めてに等しい。

軽口めいた噂話は我々はいいとしても十六歳の俗世を知らぬ高貴な少女に聞かせるには少なからず刺激が強い。

「ティレージュ様?オルランド兄様がどうかして?」

アンジェリーナ様はテーブルの向かい合わせに座っている主に問う。

オルランド様というのはレナード様のすぐ上の兄、第二皇子にあたられる方。底が知れず、色々と噂もある。

「今度宮廷に上がる令嬢の話です。オルランド様とも機会があれば会われるのでは、と」

幸い、急に次兄の名が出た事に驚き、前後のどぎつい部分は記憶に残らなかったらしい。

「そうなの?」

「ええ。そうですね?レナード様?」

「…ああ。そうだ、アンジェリーナ?そういえばこの間、新しいドレスを新調したといっていたね?みてみたいんだが?アルフォンソ、女官長を」

「はっ」

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