第26話
マルクス様とリヒャルト様はレナード様が自(みずか)ら作られたご友人。立身出世や名誉欲で近寄ってくる者が殆どの王宮で、心を許せる数少ない存在だった。ほぼ同い年の彼らは仲が良く、またその美貌から王宮に足を運ぶ貴族の令嬢からの人気も高い。当然の事だろう。
しかし。
好意の眼でみる者が多数いれば逆もまた然(しか)り。
陰で指をさして中傷する者も多い。
“自らの身分もわきまえず親王に取り入るとは”
“なんとあつかましい”
己の事を棚にあげて。愚かな事を言い募る者達。
それにはわけがある。お二人のそれぞれの実家は国でも名だたる名家。
だが貴族の位としては『侯爵』。この国のしきたりでは王族が親しく付き合っても良いのは血統が近い『公爵』まで。 臣下として扱うべき者を友人として扱うなどあり得ないと。
けれどレナード様は自らの友人に地位の高低など求める方ではない。
「私の友は私が決める」
ニッコリと笑って言うレナード様に表立って逆らえるものなどいようはずがなかった。
だが、ただ一つ今日のお二人に難点があるとすれば、それは。
「…お二人とも。それまでにされては。アンジェリーナ様が目を丸くしておられる」
主の涼しい声が二人を遮(さえぎ)る。
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