第8話 父、住む家を失う危機その③
一旦決まったと安心しただけに、また家探し再開と言うのは本当にしんどかった
私と姉はヘロヘロだったが、父は「どこでもいいよ」と丸投げ体勢相変わらずでコタツの中にちんまり座っていた
そんな事言ったって実際に見ず知らずの土地に放り込まれたら、さりげなく切ない愚痴を言うのは目に見えている
そうなると私たち姉妹も心配だ
しゃーない、もういっちょ探すか・・と死んだ目で立ち上がったのだが、ここで姉がなかなか良い物件を見つけてきた
姉よ、姉よ姉よ〜!
無言で肩を叩き、心からの称賛を送った
不動産屋も他社に変え、いざ内見だ!
外から見ると小綺麗なマンションで、今まで見た中では1番良さげに見える
元の家からも近く、バス停も近い。かかりつけ医も受けている介護サービスも変えずに済む!
中を見てみると、あら、ここも程よい狭さ
トイレなどもリフォーム済で綺麗
収納スペースはほぼなく、小さい押入れくらいだったが、元々使っていたタンスを2つ持ってくる予定なのでそれで十分。
正直、この前の長屋が1番良かったが、それでもここもすごくいいじゃん!と疲れ切っていた私たちは
即決した
だけどこちらは良くてもまた大家さんに断られるんじゃ・・と不安を覚えつつ不動産屋さんからの連絡を待った
家族がまめに来られること、介護サービスを受けているのでヘルパーさんが定期的に来ることなどを踏まえてOKが出た!
ついに終の棲家(ダジャレではありません)が見つかり、なんとか期日内に元の家から出る段取りができたのだった
立ち退きは青天の霹靂で、最初はまさか自分の父が住む家を失う危機が来るなんて!と恐怖におののいたが、結果的には良かったんじゃないかと今なら思える
立ち退き料は弁護士さんのアドバイス通り粘り強く交渉した結果、予想を上回る金額がもらえた(ただ、最初の提示金額が話にならない程安かったのでウハウハ言うほどはもらえてないが)
それに、あのまま住み続けていたら父が亡くなった時にまたあの恐怖の実家の片付けが待っていたが、引っ越しの際本当に必要最低限のものだけ持ち出して後は不動産屋さんに処分してもらったので、片付けに業者などを使わずに済んだのは金銭的にすごく助かった
今はその辺のミニマリストもビックリの物の少なさである
乗り越えるのに本当にへとへとになったが、越えてしまえば何だかんだ言っても最終的にラッキーだったかもね〜となったお気楽一家だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます