第3話 片付けと言う名の苦行

さて、母の葬儀をなんとか無事執り行ったのだが、その後に壮絶な大仕事が待っていた


そう、実家の片付けである


私の実家って豪邸だったかしら・・

否、ボッロボロの極狭長屋である

なら、何故にこんなに荷物が山程出てくるのだ!

母よ、ウチには異空間に収納部屋でもあったのですかい?


私の母はいわゆる捨てられない人であった

と言うより、要らない物はないと思っていたフシがあるので、捨てると言う選択肢がなかったのかもしれない

そして家族から片付けをするよう要望があっても、ただただ聞こえていないフリをするだけだった

(今思えば口だけ出して何もしない家族だったので、ケッ!と思ってたのかも)


大きな家に住んでいたなら私と姉では手に負えない荷物量になっていただろうから、ある意味極狭長屋で良かったのかも知れない

などと何とか自分に言い聞かせながら必死にひたすらにゴミ袋に詰め込んだ

途中、終わりが見えなくてしばしフリーズしたり、うおおお〜!捨てろ捨てろ〜!と妙な断捨離ハイになりながら何日も何日も片付け続けた(傍から見ればただの情緒不安定)

父はと言うと、母の服やら持ち物を見つけてはしんみり悲しみに沈んでいた

たぶん、父のしていた事はそれだけだ

そんなに全部捨てなくてもいいんちゃう?とぼそっと呟いているのを聞こえていないフリをして、ほぼ一切合切捨てた!


なんという事でしょう

居間から台所へ行くだけで障害物走みたいになっていた家も、すんなり最短距離で行けるではないか


ものすごく大変だったし、もう二度とやりたくないが非常にすっきり爽快な気分になったのを覚えている

すっきりし過ぎたのか、それはそれで父は寂しさを感じてしまったようだ

少し可哀想だったかなとも思うのだが、一気にやらないと一生このままだったと思うから私はやって良かったと思っている


実家には今まで家族で暮らしてきた歴史と共に、それに伴ういろいろな物や思い出が蓄積されている

それを捨てると言うのは体力的にはもちろん、精神的にキツイ部分もありかなり大変だった

だけど、物はなくともお母さんはちゃんと心の中にいてるからね、と伝えてたくさんの物たちとサヨナラしたのだった


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