第6話

雅side




「お前、うちのガキと同じ高校じゃねぇか。



うちの瑠樹っつーんだけど、知ってるか?」




朝になって俺が制服に着替えると、大樹(だいき)さんは驚いた顔でそう言った。



大樹さんとはもちろん須藤組 頭の事。

そう呼べと昨日言われたのだ。



「まぁ!本当ね。」



これは、その妻の透子(とうこ)さん。




今は何故か3人で朝ご飯を一緒に食べようと言われ居間に来たところだ。




「知ってますけど。」



知ってるも何も、そいつのいる族の幹部になっちゃったし。




「そうか。あいつ有名なんだなー。




それにしてもあのクロが高校生とは未だにし信じ難いが...。これは信じるしかなさそうだな。」




「いきなり何ですか?」




「...クロって言ったらプロの仕事屋で有名だからよ。うちも世話になってるし。


てか赤羽の野郎、偽物送ってきたんじゃねーよな?」


もしそんなことがあったら、赤羽だってタダじゃ済まされないだろう。



「信じられないなら、今度仕事でも引き受けましょうか。」



聞き流そうと思っていたがこれに関してはそうもいかなかった。



早くいつもは食べない朝飯を済ませたいんだが...。



「お、それいいな。」



そう言った大樹さんは悪巧みをするかのように何か考え事をし出した。



「もう、仕事のことはいいから。

ご飯が冷めてしまうじゃない、早く食べましょう?」



透子さんは考え事をし出した大樹さんをいなすように言葉を発すると、俺を見て微笑み箸をつかんだ。

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