第23話 ひとりぼっちの夜
自分の家に入ると、誰もいなかった。
お姉ちゃん、もしかして今日は隼人さんとお泊まりデートすることになったのか...?
お姉ちゃんのこと、うるさいって思うことも多いけど、誰もいない家に帰るのってさみしい。
二兎はいつもこんな気持ちになってるのかな。
コンビニ袋から肉まんとチキンを取り出したらまだ温かかった。
とりあえず冷めないうちにこの二つを食べよう。
肉まんとチキンを食べながら、“久しぶりにママに電話してみようかな...。”と思った。
私が大学を卒業した頃、急に父の転勤が決まった。
母は、
「希も愛も、もう二人とも大人なんだから大丈夫よね!私は久しぶりにパパとの二人暮らしを楽しむわ♡♡♡」
とうれしそうに言って父と二人で遠い街に引っ越していった。
あれからもう6年か...。
たしかに私もお姉ちゃんも大人になってたし、二人暮らしだから今までさみしいと思ったことなんてなかったのに。
母は1週間に1度は電話してくれるし。
ちなみに二兎のご両親が残した財産は私たちの両親が管理している。
二兎の家がほとんど親戚付き合いをしていなかったこともあって、当時まだ18歳だった二兎はどうしたらいいのかわからず、私の両親にあっさり遺産を託したらしい。
そのまま10年も経つとはさすがに私の両親も予想外だったみたいだけど。
「二兎くんのこと、ちゃんとに見ててあげてね。」
母が引っ越しの日に言っていた言葉をふいに思い出す。
なんなら私たち姉妹より二兎のことを心配していたくらいだった。
今でも電話で話すのは二兎のこととお父さんとのノロケ話ばっかり。
二兎、家事も覚えないままニートまっしぐらだったもんね...。
大学卒業できたのは本当に奇跡だった。
ふと時計を見てみるともう12時を過ぎようとしている。もうこんな時間か〜。
さすがに遅いし、ママに電話するのはやっぱりやめておこう。
あとパスタは冷蔵庫に入れておこう。
そしてお姉ちゃんはお泊まり確定か...。
しかたがない、こうなったらとことん一人で考えるしかない。
私は、二兎のことをどう思っているのか、そしてこれからどういう関係になっていきたいのかを。
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