第22話 眠れない夜になりそうだ
コンビニに向かいながらずっと黙っているのも気まずくて、私は思っていることを全部二兎に話すことにした。
自分の気持ちの整理にも繋がるかもしれないし。
「でも、二兎が私のことずっと好きだったなんて、全然気づかなかったよ。むしろお姉ちゃんとお似合いだと思ってたくらいだし。」
「まぁ、お前が俺のこと恋愛対象として見てないことくらいさすがにわかってたからな〜。」
「二兎がもっとしっかりしてたら違ったかもよ?」
「うっ、正論すぎて何も言い返せねぇ...」
「好きな人にはもっとカッコつけた方がいいって。」
「お?急に恋愛アドバイスか?彼氏いたこともないくせに?」
「うっ、うるさい!!!あんただってそれは同じでしょ!!!」
そうこうしている間にコンビニに着いた。
二兎はカゴを手にしてまっすぐお弁当のコーナーに行ってあっという間に食べるものを決めていた。
私は少し迷った後にパスタを買うことにした。
「おいおい、それだけで足りるのか?」
「いや、さすがに太る気がして...」
「ははっ、そんなこと気にするなんて愛らしくねぇな〜」
二兎はそう言いながら私のパスタもカゴに入れてレジに向かう。おや???
「袋二つにわけてもらっていいすか。あと、肉まん2個とチキン2個お願いします。」
そのまま会計まで済ませて、私のパスタの袋に肉まんとチキンを入れてから渡してきた。
「ほら、お前コンビニ来るといつも肉まんとチキン買うだろ?今日食べなくても、明日の朝食べればいいしさ。」
「あ、ありがとう...」
「どう?少しはカッコつけられたんじゃない?」
二兎がドヤ顔で聞く。
「いや、今まで何年私があんたとの会計済ませてきたと思ってんのよ!」
「ちぇっ、厳しいな〜。」
でも、悪い気はしなかった。
むしろ二兎が私のことをちゃんとにわかってくれてた気がしてうれしかった。
うれしいと感じたことがなんだか恥ずかしくて、そのまま下を向いたまま黙って歩いた。
「それじゃ、おやすみ。」
二兎の声で顔を上げると、もう私の家の前だった。
「うん、おやすみ。」
「また明日な。」
「うん。」
そのまま自分の家に戻っていく二兎の後ろ姿をなんとなく見ていた。
二兎が玄関のドアを開けた瞬間、そんな私に気づいて言う。
「なんだよ、また一緒に寝てやろうか〜?」
「やめてよ!」
「ははっ冗談だよ。...明日、待ってるからな。」
そう言うと、二兎は家の中に消えていった。
そうだ、明日の朝までに私は二兎への返事を考えなくちゃいけないんだった...。
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