私たち二人はまたしばらく黙ってしまった。

うぅ、気まずい...。

二兎に最後に言われた言葉を頭の中で反芻してみる。

“それって、俺は愛のことがずっと好きだったってことなんじゃないかと思うんだが、愛はどう思う？”

二兎が、私のことを好き？それは恋愛的な意味で？

“どう思う？”じゃなくて、ちゃんとにビシッと言い切ってくれ。

「あのさぁ、私にどう思う？って聞く前に、もう少しはっきりした言葉が聞きたいんだけど。」

「...たしかに。さっきの言い方はダサかったな。小説の世界だったらもっとカッコよく言えるのにな...。」

二兎が少し悲しそうな顔で笑う。

そんな顔しないでよ...。

だけど、しばらくすると何かが吹っ切れたような顔になってまた私の目をまっすぐに見て言った。

「愛、俺は愛のことが今までもこれからもずっと好きだ。俺は今はどうしようもないダメニートだけど、愛とこれからもずっと二人で生きていきたいと思ってる。」

「二兎...」

「この指輪、たぶんまた二人で小説の世界に行って、ペア登録を解除しちゃえば消えると思うんだ。でも、俺はこのまま消えないでいてほしいと思ってる。」

二兎は最後まで私の目を見て話してくれたけど、声は少し震えていた。

こんなに真剣に私に向き合ってくれる二兎を見るのは初めてだ。

「二兎、私、二兎のことを恋愛対象として考えたことがなかったの。ずっと一緒にいて、もう兄弟みたいに思ってたから。」

「...うん。」

「だから、正直に言って今はなんて答えたらいいのかわからない。」

「...うん。」

「でも、私が二兎のことをどう思ってるか、もう一度ちゃんとに考えてみる。」

「...うん。」

「明日の朝、また来るから。そのときに私の気持ちもちゃんとに話すね。うまくまとめられるかはまだわからないけど...。」

「......。」

「あっ！また一人で勝手に小説の世界に行くのはやめてよ？ちゃんとに私のこと、待ってて欲しい。」

「...あぁ、わかった。」

「私、二兎が急にいなくなるのは絶対に嫌なの、それだけは今はっきり言えるんだ。」

「？」

「二兎が変なガチャガチャで小説の世界にワープさせてくれたおかげだよ。」

「なんだよそれ、今まで文句ばっかりだったのにさ。」

二兎が笑って言うのを見て、私は少し安心した。

そう、私は結局、二兎がいなくなるのはさみしいんだ。

自分で話しているうちにそんな気持ちに初めて気づいた。

だけどこの気持ちは二兎と同じだって言えるのかな？

一旦一人になってちゃんとに考えたい。

「それじゃ、今日はとりあえず帰るね。」

「おう。」

「あ、夕飯は大丈夫？？？」

「まぁ適当にコンビニで買って済ませるよ。」

「じゃぁ私もそうしようかな。」

「だったら一緒にコンビニ行って一緒に食おうぜ。」

「うーん...今日は一人で食べるよ。でもコンビニは一緒に行こう。」

「...そっか。」

私たちは二人でコンビニに向かった。