第11話 愛の小説
≪私の名前は上原愛。
幼馴染みの二兎とは腐れ縁の仲。
二兎は今はどうしようもないニートだけど、私たちは生まれた頃からほぼずっと一緒にいる。
ある日私は二兎が書いたという小説の世界に入り込んでしまった。
その世界には二兎も一緒にいて、話の流れでなぜか二兎とキスすることになっちゃって、ほんとに最悪!
キスした瞬間、無事に現実世界に戻ってはこれたけど、小説の世界で交換した指輪はまだうっすら残ってる...。
夢の世界だったらよかったのに、現実で起きてたことみたい。
左手の薬指に外せない指輪が残ってるなんて、さらに最悪!
いつか現れる素敵な彼氏から指輪をもらったときにはめられないじゃない...!
指輪を外すにはどうしたらいいのか二兎に直接聞きたかったのに、二兎は一人で勝手に小説の世界に行ってしまったみたい。
どういうこと!?ありえないんだけど!
二兎に会うために私も小説を書くことにした。
この話の続きを書いたら私もまた小説の世界に行けるかもしれない!
全部ちゃんとに説明してもらうんだから!
待ってなさいよ、二兎!≫
うーん、こんなもんかな...。
なんか小説っていうよりも手紙みたいになっちゃった。
ていうか二兎とキスしたとか書くと、改めて思い出しちゃって本当に恥ずかしい...。
初めて小説を書こうと思ってやってみたけど、長文の物語を書くのってなかなか難しい。
二兎はすごく楽しそうに書いてたからもっと簡単なものなのかと思ってた。
今まで10年も、むしろそれ以上?ずっと二兎は小説を書いていたんだな、と思うとなんだかちょっと見直しちゃった。
二兎が今までに書いてきた小説、ちゃんとに読んでみようかな。
まずはこのうっすら残ってる指輪をなんとかしてもらってからだけどね!
えーっと、アップするボタンはこれかな?
なんだか緊張してきた...。
このまま二兎に会えなかったらどうしよう。
でも、今私が思い付く限りでできることはこれしかないから、と自分に言い聞かせてアップするボタンをクリックした。
その瞬間。
《ズシーン...》
二階の二兎の部屋からなにやら大きな音が聞こえた。
「二兎が帰ってきたのかも!」
慌てて二兎の部屋に行くとそこに二兎の姿はなく、その代わりに見覚えのあるガチャガチャが部屋の真ん中に現れていた。
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