第12話 スーパーダーリン☆ガチャ再び

「これって...。」


二兎の部屋に現れたガチャガチャは、昨日焼き肉屋からの帰り道にあったスーパーダーリン☆ガチャだった。

さっきまではなかったのに、どうして?

小説を書いたら出てくるシステムなのかな?


そういえば昨日もこのガチャガチャを回して出てきたカプセルを開けたら小説の世界にワープしたんだった。

でも昨日はなんであの場所にこのガチャガチャがあったんだろう?


細かいことを考えていてもしょうがない!

とりあえずまた二兎の小説の世界には行けそうだ!



「よし、回すぞ~!!!」



そう意気込んでガチャガチャに近づいて値段を確認したら1000円に値上がりしていた。はぁ???

お金を入れる部分はご丁寧にお札が入れられるように改良されている。

昨日は100円にしか対応してなかったのに!!!


ここで使ったお金は一体どこにいくんだよ。

しかも回せば回すほど値上がりしていくっぽい?

えー、すっごく嫌だな...。


気分が一気に落ち込んできた。

それと同時になんだかものすごく腹が立ってきた。


二兎に直接会って請求するしかない。

アイツはニートだけど、二兎のパパとママが残してくれた財産があるからな。



こうなったらもう絶対に絶対に二兎に会いたい!

こんなに二兎に会いたいと思う日がくるなんて思ってもみなかった。



私は一度自分の家に戻って、財布から1000円札を取り出して握りしめた。


お姉ちゃんがそんな私に気がついて



「あっ、愛!なんだかものすごーく面白いことになってない???」 



と声をかけてきた。


もしかしたら小説の続きを読んだのかもしれない。

さっきアップしたばっかりなのに?

お姉ちゃん、めちゃくちゃ二兎の小説のファンじゃん...。



「お姉ちゃん、今はまだちょっと話せる状態じゃない、ごめん!!!」



それだけ言って私はまたすぐに二兎の家に戻った。



ガチャガチャに1000円札を入れて回すと、またSSRと書かれた紙が貼られたカプセルが出てきた。


「待ってなさいよ、二兎!」


昨日は固くて一人では開けられなかったカプセルが今日はなぜだかすんなり開いた。

二兎への怒りのパワーが効いていたのかも。



カプセルを開けると辺りは眩しい光でいっぱいになって、私は思わず目を閉じてしまうのだった―――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る