第10話 今日は休みだったのに
ピピピピ...
アラームの音で目を覚ます。
あぁ、今日は仕事は休みの日なのに。
昨日は疲れてアラームを切り忘れてしまっていた。
二度寝しちゃおうかな、なんて考えていたけどそんな考えはすぐに吹き飛んだ。
指輪がまだ残っていたのだ。
だけど昨日の状態とは少し違う。
なんか、透けてる...?どういうこと?
透けてはいるのにたしかに指輪はあって、ちゃんとに触れる。だけどやっぱり外せない。
なんかこれ、すごく気持ち悪い!
私はとりあえず二兎の家に行くことにした。
何かあったときのために...と作っていた合鍵があってよかった。
「二兎!起きてる!?」
二兎の部屋に行ってみたけどもぬけの殻だった。家中を探してみたがどこにも姿が見えない。
あのニートがこんな朝から出かけるとは考えにくい。でも一体どこに行っちゃったの???
そういえば、小説の続きが更新されてるんだった。
とりあえずそれだけでも読めればなにかわかるかもしれない。
ラッキーなことにパソコンにはちょうど更新された小説が表示されていた。
小説にはこう書かれていた。
<俺は二兎。10年前、希をこの世界に招待したときと同じように、愛を招待することができた。だけど現実世界に戻っても俺たちの間に恋愛感情は生まれなかった。もう終わりだ。俺はこの小説の世界で生きていくことにした。この世界でなら団長と幸せに暮らしていけるだろう。さよなら、愛。今までありがとう。>
なんだこれは。まるで遺書みたいじゃない。
そもそもお姉ちゃんが昨日の夜読んでいた話とはだいぶ内容が違う。
一回消して、さらに更新したのかな。
薬草探しのクエストとか、今までの話はどうなった???
私と二人で冒険するんじゃなかったの???
そもそも二兎は自由に小説の世界に行けるってこと?
しかもお姉ちゃんや私もそこに連れていけるみたいだし。
いつからそんなチート能力を...。
とにかく二兎に会わなくちゃ。
このまま二兎だけ小説の世界で暮らしていくなんて絶対に許せない。
お姉ちゃんとの過去のこととか、今回はどうして私を招待したのかとか、キスした理由とか、チート能力のこととか、直接聞かなきゃ納得できない!!!
二兎はこのパソコンで小説の続きを書いて飛び込んでいったのかな。
私がここで更に続きを書いたらどうなるんだろう。
小説なんか書いたことないけど、とりあえずやってみるか。
今日が仕事休みでよかった~。
そんなことを考えながら私は二兎のパソコンに小説の続きを打ち込み始めた。
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