第1話 目覚め

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 第1話 目覚め

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 目が覚めたら転生していた。

 そんな物語のような話、あるわけない! と思うでしょ? それがあるんだよ。

 今の僕が、まさにその転生という現実を、突きつけられているわけだ。

 前世の家族のことは思い出せるけど、僕はどうして死んでしまったのだろうか? その原因というか、死因が思い出せない。

 それなのに転生特典のことは、しっかり僕の記憶に刻まれている。

 この世界には僕のような転生者が他にもいるらしい。多いというわけではないが、少なくもないらしい。

 ただし、僕と同じ世界から転生してきた人かどうかは別なんだとか。つまり、他にも多くの世界があり、そういった世界から人々が転生してくるらしい。


 この世界は魔法があり、その魔法と転生者がもたらす知識とが融合した文化・文明が発達している。どういった文明なのかは、僕がその目で見て確かめるように、と神様は仰った。

 これまでの言葉で分かると思うけど、僕を転生させた神様がいる。この世界を創った存在だ。

 その神様は文化・文明を発達させるために、異世界で死んだ人の魂を定期的にこちらの世界に転生させているらしい。

 僕たち転生者は、特別何かをしなくても構わないし、何をしてもいい。そう仰っていた。強制することなく、僕たち転生者の自由意志に任せるということだ。


 僕たち転生者がもらえる転生特典は、誰でも三つなんだとか。その三つはできる限り、転生者の希望を聞いてくれるということだったので、僕も転生特典を選んだ。

 一つめはステータス確認。対象のステータスを見ることができるというもので、この世界の人は持っていないものだ。

 二つめは健康体。病気に罹りにくく、怪我をしにくい。さらに病気に罹っても、怪我をしても治りが早いというものだ。

 三つめはガチャ。一日一回分のガチャポイントが貯まるもので、他にクエストをクリアするとガチャポイントが増える。ただし、クエストは今の僕ではできない。赤ん坊は自分で動くことさえできないからね。

 他の転生者は、魔法の才能がある人や剣の才能がある人もいる。生産に特化した人もいれば、オールマイティな人もいる。

 僕は特に武力無双や生産無双をしたいわけじゃないから、遊び心のあるガチャと健康な体をもらったんだ。

 それならステータスを見る必要はないって? まあ、そうなんだけど、この世界には、チートをもらって転生した人たちがいるので、そういった人と敵対しないようにしたいと思ったわけ。だって、チート持ちと敵対なんてしたら、のんびりできないじゃん。

 僕にその気がなくても、向こうが敵対行動をとるかもしれない。そういうのは回避が難しいけど、そういった際にステータスが見えるということは、何らかの解決策が見い出せるかもしれないからね。


 さて、ガチャにはレアリティが設定されていて、ノーマルが七〇パーセント、レアが二七パーセント、Sレアが三パーセント未満、SSレアが〇・五パーセント未満、Uレアが〇・〇五パーセント未満となっているそうだ。

 それと、三〇連ガチャにすると、Sレア以上が確定で出るらしい。いや、一〇連じゃないの!? と何度も聞いちゃったよ、マジで。


 しかし、赤ちゃんの体は不便で暇だね。まともに動けないし、目も見えない。耳は辛うじて聞こえるけど、あまりはっきりとは聞こえない。

 あと、たまに誰かに抱かれていたり、下の世話をしてもらっているのはなんとなく感じる。

 とりあえず、自分のステータスを見ておこうかな。


 ―――――――――

 デルク・ナグラー 男

 身分 ナグラー男爵家五男

 情報 転生者

 統率 一

 武力 一

 魔力 一

 知略 一

 政務 一

 生産 一

 魅力 一

 属性 水(高)

 恩恵 ステータス確認・健康体・ガチャ

 技能 なし

 ―――――――――


 こんな感じなんだね。赤ん坊だから、ステータスがオール一なんだと思う。ここら辺は僕が成長すれば分かることだ。

 それと情報欄に転生者という欄があるから、転生者ならそれで分かると思う。




 僕がこの世界に転生して三カ月が経過した。これで三〇連ガチャができる!

 三カ月間待ちに待った日だ。楽しみで、昨夜は何度も起きてしまったよ。


 この三カ月間で、やっと目が少し見えるようになった。

 僕の母と思われる女性は、銀色の髪で藍色の瞳をした美しい人だ。多分。

 多分というのは、視界がぼやけているため、まだハッキリ見えないからだね。

 ただ、声がとても優しげな女性なのは間違いなく、名前はウィスナーラというらしい。


 さて、三〇連ガチャをしましょうか!

 ガチャといっても、カプセルが出てくるわけじゃない。赤ん坊のそばにカプセルが出てきても、どうにもできないし、ある意味ホラーだよね。

 そこで神様はガチャをカードにし、ガチャを引いても現物が現れることはない仕様にしてくれた。

 つまり、ガチャを引いたら、僕の脳内でカードのイメージが展開されるんだ。

 カードは僕が使う意思表示をしないと具現化しない。おかげで誰にも知られず、ガチャが引けるんだ。


 三〇連ガチャを実行すると、ガードガチャ機が脳内に現れ、ドラムが回った。

 え? スロット? そんなことを思っているうちに、三つの柄は揃わなかった。どうやらこれがノーマルのようだ。

 まあ、ノーマルの確率は七〇パーセントだからね。ほとんどがノーマルだと思っておかないといけないよね。


 ……ノーマル(全く揃ってない)で五回連続止まった。ちょっと萎える。


 次は少しドラムが光った。

 これは!?

 レアの柄が揃った!

 やっほーっ!


 その後、六回連続でノーマルだった……。さすがに六回も連続だと、萎えるどころではない落ち込みようだ。

 ノーマルは七〇パーセントだと言っていたよね!?


 ところがどっこい、その次にはなんとレアよりも派手なエフェクトが起った!

 Sレアだ!

 よっしよっしよっしよっしっ! この調子でいこう!


 SSキターーーッ!

 ブリッジュワー……。

 確立が〇・五パーセント未満のSSレアが出た時は、歓喜のあまり漏らしてしまった。赤ん坊って、大も小も緩いんだよね。恥ずかしい……。



 結果、ノーマルは二〇枚、レアは八枚、Sレアは一枚、SSレアは一枚だった。


 さて、早速カードの内容を確認しよう!


 ノーマル:カロリーゼリー(三〇個)×一

 N:フェイスタオル(一〇〇枚)×一

 N:バスタオル(三〇枚)×一

 N:コシヒカリ(三〇キログラム)×一

 N:もち米(一五キログラム)×一

 N:醤油(一〇升)×一

 N:味噌(三〇キログラム)×一

 N:塩(一〇〇キログラム)×一

 N:胡椒(一〇キログラム)×一

 N:綿のティーシャツ(三〇枚)×一

 N:男性用綿のパンツ(三〇枚)×一

 N:男性用綿の靴下(六〇足)×一

 N:牛の石鹸(五〇個)×一

 N:オリーブオイル(一〇リットル)×一

 N:ボールペン(三〇〇本)×一

 N:シャベル(五本)×一

 N:安物の剣×一

 N:下級ポーション×一

 N:A4コピー紙(一万枚)×一

 N:ソーラー電池式腕時計×一


 ノーマルは生活に密着しているな。これはこれでありがたい。なにせ、この世界の食糧事情がよく分からないからね。

 米や味噌、醤油がない可能性は十分にあるからね。元日本人にとってこれは大事なことだよ。


 さらに、下級とはいえ、ポーションが出たのは嬉しい! いつ何があるかわからないからね!


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無双なんて望んでないのに、なぜか怖がられている!? 【いつの間にか魔王よりもヤバい旦那と言われていた件について】 大野半兵衛 @nanjamonja

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