32日目

恋愛、アニメのような突拍子もない出会い、ドラマチックな展開、そんなものばかり望んでは、私は自分の期待に毎日呆れていた。

「…うん、恋愛系の見すぎ」

友達にもそう言われるくらいだ。合コン経験0、学生時代は彼氏なんていなかった。所謂、「彼氏いない歴=年齢」という部類の者だ。

「…王子様なんていないのかなぁ…」

私のお姫様への誘いは、何処にあるのやら…

「…ん?」

ふと、課長のいる所を見ると、知らない人と話していた。

「誰?あの人」

私が友達に聞くと、友達は首を傾げて、「ん〜…知らない」

と、一言。本当に知らないのだ。

「皆さん、注目!」

突然、課長が声を出す。課長の方を見ると、さっきの彼が隣に立っていた。

「新しく入って来た子だ。皆、拍手して迎えてくれ」

私は拍手をしながら、ふと、この前見たアニメを思い出した。

…ここから、恋愛に発展したりして!?

なんて、考えながら拍手をしていた私の隣にいるのは、その時の彼だ。

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