第53話 「的外れなAIの回答。そこからのひらめき」

 「今まであらすじ」

 アース星の大統領の首席補佐官は、違う宇宙の地球の啓太が猫に転生するという大統領の計画を阻止する事に成功した。しかし、補佐官は猫に転生してしまった。

 地球の川原知人(かわはらかずひと)と今井昭(いまいあきら)は、どうにかして、首席補佐官を猫から人間に戻そうとしている。


 第53話 「的外れなAIの回答。そこからのひらめき」

 ZについているAIは回答した。「猫に転生してしまった大統領の首席補佐官を人間に戻す方法は2つ考えられます。1つ目は大統領にお願いして人間に戻してもらうという方法があります。もう1つの方法は自分で転生装置を開発して人間に転生させる方法があります」

 川原知人はAIの回答にがっかりした。「こんな回答、誰でも思いつくよ。自力で転生装置なんて作れないから聞いているのに・・」

 今井昭も少しがっかりしたようだ。「確かにその通りだね。自力で転生装置は作れない。でも、大統領のところのエンジニアが転生装置を修理して、補佐官を人間に戻してくれるという可能性は少しあるのかもしれないな」「でも、今まで戻していないところをみると、その可能性も低そうだな・・」川原知人はこたえた。

 今井昭は少し考えながら言った。「でも、もしかしたら補佐官は既に人間に戻してもらっている可能性はあるな。最近、姿を見せていないのがその証拠かもしれない」

 「うーん・・・。どうなんだろう?それなら自分達が無事なのも説明がつかない気もするし、分からないね・・」川原知人はそう言った。

 「とりあえず、首席補佐官にもう1度会いたいというメッセージを絵にして、服にプリントして、通勤する事にしよう。絵ならこちらの言葉が分からなくても、お互いコミュニケーションは少しとれるはず」今井昭は言った。

 

 次の日、今井昭は猫と人間が会っているところを絵にした服を準備してきた。川原知人はそのプリントされた服を見て言った。「想像以上に、ださく感じる・・」

「いや、一周回ってお洒落かもしれない」昭は言った。「確かに、パリコレの人が来ていたら、お洒落に見えるかもかもしれない」川原はもう1度、猫と人間がプリントされた服をじっくり見た。やっぱり、ださい気がした。

 「これ、大学の授業の時に着るの?」川原知人は今井昭にきいた。「補佐官に、できるだけ早く気付いてもらうために着ていた方が良いかもしれないけど、嫌なら通勤の時だけで良いよ」今井昭は、そう答えた。「うーん・・・。哲学の授業の時は正直着たくはないけど、変なデザインの服を着ていた方が、授業をきいてもらえる可能性もあるな。でも、私の服なんて誰も興味ないから変わらないかもしれないけど・・」「確かに意外に他人の服って、あんまりしっかり見てない事が多い気がするね」昭は言った。

 

 次の日から私達は変なデザインの服を着て生活した。意外にもその服の効果は、わりとすぐあり、しばらくしてから首席補佐官が自分から再び会いに来たのだった。

(続く)

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