第52話 猫に転生してしまった補佐官に会ってどうしたい?

 「今まであらすじ」

 川原知人(かわはらかずひと)の親友の啓太は、大統領の計画で猫に転生させられようとしていた。しかし、大統領の首席補佐官はそれを防ぐ事に成功した。知人(かずひと)は今井昭(いまいあきら)に補佐官に会ってどうしたいのかきかれて答えを考えている。


 第52話「猫に転生してしまった補佐官と会ってどうしたい?」

 ここはいつものカフェ。川原知人は猫になった大統領の首席補佐官に会って、何がしたいのか。自問した。まず、啓太が猫に転生するのを止めてくれた事に感謝の気持ちを伝えようと考えた。そして、啓太の代わりに猫に転生してしまった補佐官をどうにかして、元の人間に戻したいと思った。

 

 知人は今井昭に言った。「まず、補佐官に感謝の気持ちを伝えたい」

 昭はこたえた。「そうだね。まず、啓太を命がけで救ってくれた事に対して感謝の気持ちを伝えるのは大事だね」

 知人は続けて言った。「そして、補佐官を人間に戻したい・・」

 昭はしばらく考えてから渋い顔をして言った。「それは難しいだろうね・・」

 「やっぱり、そうだよね。そんなうまい方法はなさそう・・」

 しばらく会話が途切れた後、また昭がしゃべり始めた。「まず猫になった首席補佐官に会うのが難しそう・・。そして人間に戻すのはもっと難しいだろうね。良い方法が思いつかない・・」

 「ヤッホー知恵袋で、きいてみるとかZのアカウントについているAIにきいてみるとか・・。どうかな?」知人はわりと、誰でも思いつきそうな事を言った。

 「うーん・・。すぐに掲示板とかAIに頼るのもあんまり好きじゃないけど、今は手段は選んではいられないな。まずは、ヤッホー知恵袋できいてみようか」昭は言った。

 「じゃあ、自分が質問するね」知人はそう言って、掲示板に書き込んだ。

 「知り合いが猫に転生してしまいました。人間に戻すにはどうしたら良いですか?」自分で書いていて気付いたが、あほな質問しているなと思った。しかし、こう書く以外に他に書きようがないのも事実だった。しばらくして、質問の返事が返ってきた。

 「人間は猫には転生しません。もしかして、漫画かなにかの話ですか。あほな質問をしていないで、しっかり勉強して良い大学に入って下さい」

 知人はこの返事を見て笑ってしまった。隣を見ると昭も笑っていた。「私、大学教授なんだけど・・・」知人は、ぽつりと言った。

 「最初のは事実だけど、後半は余計なお世話だね」昭も笑いながら言った。

 「駄目元でAIにきいていみる?」知人は昭に言った。「AI反対派だけど、何も思いつかないし、きいてみよう」昭は、そうこたえた。

 AIからすぐに返事が返ってきた。AIの返事のスピードは人間をはるかに超えている。「今の科学技術では人間が猫に転生する事はありえません。仮にそういう技術があるとすれば次の方法が考えられます・・・」

(続く)

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