第50話 猫に転生した首席補佐官 地球の人間に会いに行く

 「今まであらすじ」

 地球とは別の宇宙の「アース星」の大統領の首席補佐官は、地球の啓太を猫に転生させる大統領の計画を阻止しようと、転生装置を操作する人に体当たりをした。その時、転生装置とぶつかり、その衝撃で機械が誤作動してしまった。機械の誤作動の結果、補佐官はなぜか猫になってしまい、猫に転生した状態で地球に送られれしまったのだった。


 「第50話 猫に転生した首席補佐官 地球の人間に会いに行く」

 今、アース星の状況は分からないが補佐官は今後、猫として地球で暮らさないといけなくなってしまった。

啓太の居場所は既に知っていた。大統領の首席補佐官は猫に転生する前に啓太達を監視していたからだ。啓太達の行動は執務室のモニターでしっかり監視していたので、啓太達の行動全てを把握していた。どこに移動しても啓太達の行動、会話内容などは全て見ていた。もちろん、今は猫になってしまい、リアルタイムで啓太達の行動は分からないが住んでいる場所は、知っていたのでそこに向かって歩きだしたのだった。


 移動していると偶然、啓太達がお洒落なカフェに入るのが見えた。猫になった補佐官は、カフェの窓の方に向かった。この位置なら、啓太達が見える。私はじっと啓太達の方を見つめた。こんな事をしてもさすがに気付いてもらえそうにない。私は、あきらめて、啓太達の住んでいる場所に先回りする事にした。カフェの近くは、人が多く、こんな場所で啓太達に会うのはさすがにまずいと思ったからだ。なるべく、私が猫に転生した事は、他の人に知られるわけにはいかないのだ。転生装置の情報がもれたら、悪用される可能性があるからだ。既に私のところの大統領が悪用しているから、容易に想像できる。


 啓太の家へ行き、入り口の所でずっと待っていたが、啓太は戻ってこなかった。もしかしたら、大学院とか別の所へ行ったのかもしれない。私は川原知人の家に行く事にした。川原の家の前で鳴き声を出して、家の外に出てくるのを待った。しばらく、鳴いていると川原が家から出てきた。

川原はしばらくこちらを見つめてから「もしかして、啓太なの?もし、啓太なら右足を上げてみて・・」と言ってきた。私は啓太ではなく首席補佐官なので右足を上げなかった。補佐官は手帳を足元に置いて、この手帳を見てほしいとアピールしたが、川原は気付いてくれなかった。後から考えれば夜になっていて周りが暗かったから手帳がよく見えなかっただけかもしれないが、私はあきらめ、違う場所に行く事にした。


 補佐官は、さすがにお腹が空いて死にそうだったので、コンビニの前のごみ箱で食べ物がないか、捜す事にした。しばらく、ごみ箱を漁っていたら、食べかけのサンドイッチとかおにぎりが捨ててあった。私は、仕方なくそれを食べる事にした。捨ててある物なら、万引きにはならないからから、犯罪だとしてもまだマシだと思ったからだ。私はお腹がいっぱいなったので、コンビニの近くで眠る事にした。啓太に会うのは明日にしようと考え、私は眠る事にした。私は、いろんな所で歩き回り、体力も使い果たし、疲れていたので、熟睡した。

(続く)

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