第49話 猫に転生してしまった首席補佐官
大統領の首席補佐官は地球の啓太を猫に転生させる大統領の計画を阻止しようとエンジニアに体当たりをした。その時、転生装置とエンジニアがぶつかり、その衝撃でどうやら機械が誤作動してしまったようだ。機械の誤作動の結果、補佐官はなぜか猫になってしまい、猫に転生した状態で地球に送られれしまったのだった。
今、アース星の状況は分からないが補佐官は今後、猫として地球で暮らさないといけなくなってしまった。人助けのために無茶な事をしてしまったなと少し後悔はしたが、大統領の計画を一時的にも阻止して、自分の信じる正義を貫いた自分を誇らしく思った。ぶつかった衝撃で転生装置が壊れて、二度と使えない状況になっていれば良いなと思った。いや、壊れても、またすぐに修理するだけかもしれない。大統領のいるアース星の状況が少し気になったが、今、そんな事を考えてもどうしようもないので、今後、地球で猫としてどう生きていくか考える必要があるなと思った。ふと、自分のまわりを見渡してみると、1冊の手帳が落ちていた。それは、自分が地球にいた時にもっていた手帳だった。転生した時もポケットに入れていたのだ。それがなぜか自分と一緒に地球に送られてたようだ。補佐官は手帳を口にくわえて持ち運ぶ事にした。手帳が何か役に立つかもしれないと思ったからだ。
補佐官は言葉をしゃべれるか声を出してみた。しかし、「にゃあ」という音しか出なかった。しかも地球の人間がしゃべっている言葉は全く理解できなかった。アース星の補佐官の母国語に翻訳してくれる物がなければ言葉を理解するのは難しそうだ。補佐官が最初に困ったのは食事だ。猫の状態で食料を調達するのは難しそうだ。最初、コンビニで万引きしようかと思ったが、犯罪になるのでやめた。万引き以外で食料を確保する方法を考えた。それは人に飼ってもらう事だ。捨てられた猫という事にして、誰かに拾ってもらおうとしたのだ。ゴミ捨て場に捨てられていたダンボールの中に入り、捨てられたアピールをしたが、なかなか拾ってもらえなかった。この地球の人間は、こんな可哀想な可愛い猫をほったらかしにするものなのか。ゴミ捨て場の前の道路をたくさんの人間が通り過ぎていったが、誰も拾ってくれなかった。おなかもすいてきて、限界に近付いてきたので、この作戦はやめる事にした。次に考えたのは、啓太の所に行く事だ。啓太なら、私のこの状況をすぐに理解して、拾って飼ってくれるかもしれない。補佐官は啓太の所へ向かったのだった。
(続く)
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