第48話 「覚悟を決めた首席補佐官。転生を阻止できるか!」

 「今までのあらすじ」

  鈴木愛衣(あい)(女性)は大学生で、科学技術が発達した惑星(アース星)に住んでいた。今井昭(あきら)(男性)は鈴木愛衣の結婚相手である。

愛衣の心(魂)は、大統領の計画で邪魔者を排除するために他の宇宙の惑星(地球)の川原知人(かずひと)(男性)という名前の胎児の中に送りこまれた。

愛衣は今、川原知人として生活している。愛衣は昔の記憶は覚えていなくて、最初から川原として生まれたと思っていた。川原は大学院を卒業して、今は大学で教授をしている。川原は地球で偶然、転生した後の今井昭に会った。

 そして、川原と今井の前に一匹の手帳をくわえた謎の猫が姿を現したのだった。


 第48話「覚悟を決めた首席補佐官。転生を阻止できるか!」 

 時間は少しさかのぼりここは違う宇宙のアース星の執務室。大統領と首席補佐官がいつものように仕事の話をしている。

 「よし、決めた。川原知人の親友、啓太を猫に転生させる。それを行うのは今日の夜だ」大統領は補佐官に大きな声で、そう宣言した。

 「今日の夜ですか。随分、急ですね・・」補佐官はもっと先の事だと思って油断していたので、その事を聞いて、だいぶ慌てた。あまりにも時間が無さ過ぎる。補佐官は、大統領の計画をなんとかして止めなければならないと思った。別に啓太がどうなっても正直、補佐官には何も困る事はない。しかし、道徳的に、人としてこのような行為を許す事はできないと考えた。まだ、何もしていない人間をこれから大統領の計画の邪魔になる可能性が、少しあるという理由だけで、猫に転生させるなんて、非道な事をするべきではないのだ。しかし、大統領に何を言っても無駄だ。何か反対するような意見を言えば、私がクビになる事はあっても、止める事はできないだろう。この計画を阻止できるとしたら、私が大統領に逆らい、転生させる機械をどうにかするしかないのだ。補佐官は覚悟を決めたのだった。


 そして、夜になり、啓太を猫に転生させる時間になった。大統領は言った。

 「では、啓太を猫に転生してくれ」

 大統領の命令をきいて、転生させる機械を操作するエンジニアがボタンを押そうとした。補佐官はその瞬間を見逃さなかった。エンジニアに体当たりしてボタンを押すのを阻止したのだった。

 ドン!大きな音がした。

 「あいたたた」エンジニアと補佐官は地面にお尻をつけて痛がった。

 その時だった、機械が誤作動したのだ。補佐官は機械の中に吸い込まれ、次の瞬間、補佐官は猫に転生してしまったのだった。


 大統領の首席補佐官は違う宇宙の地球の猫に転生した。補佐官は困りはてた。

 猫としてどうやって生きていけば良いか全く分からなかったからだ。

 しかし、転生する前の消えるはずの記憶はなぜか残っていた。これも機械の誤作動の影響だろうか。そして、転生する前にポケットに入れていた手帳もなぜか一緒にこちらの世界に送られていたのだった。補佐官は、この状況で頼れるのは大統領の敵の川原知人達だけだと思った。そこで補佐官は、手帳を口にくわえて川原知人の前に姿を現したのだった。しかし、手帳を当時の川原知人達に渡しても、川原知人達は最初、解読する事ができなかった。その後、今井昭が解読に成功して、現在に至る。今の状況はこんな感じである。

(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る