第46話 転生した理由

「今までのあらすじ」

 鈴木愛衣(あい)(女性)は大学生で、科学技術が発達した惑星(アース星)に住んでいた。今井昭(あきら)(男性)は鈴木愛衣の結婚相手である。

 

 愛衣の心(魂)は、大統領の計画で邪魔者を排除するために他の宇宙の惑星(地球)の川原知人(かずひと)(男性)という名前の胎児の中に送りこまれた。

  

 愛衣は今、川原知人として生活している。愛衣は昔の記憶は覚えていなくて、最初から川原として生まれたと思っている。川原は大学院を卒業して、今は大学で教授をしている。川原は地球で偶然、転生した後の今井昭に会ったのだった。


 「第46話 転生した理由」

 「さてと・・・・。転生する前の記憶がない人に何から話せば良いか難しいな・・」今井昭は言った。

 「私も何をきけば良いか分からない・・。ええと、そうだ。なんで私達は転生したんだっけ?」私は今井昭に言った。

 「それは君が大統領の計画に(他の宇宙の人間が住める環境の惑星に人間の心(魂)だけを胎児に移動させる)申し込んだからだよ」昭はまじめな顔をして言った。

 「そうなんだ。じゃあ私は自分から望んで転生したんだね」私は言った。

 「確かにそうなんだけど、大統領は君がこの計画を発表したら必ず申し込んでくるという確信があったんだと思う」

 「えええ。なんで大統領は私が申し込むって分かったんだろう」私は不思議に思ってきいた。

 「それは、この計画を発表する前に君が大統領のZ(SNS)のポスト(投稿、つぶやき)に対して意見を書き込んだからだと思う。」

 「えええ、そうなんだ。私はなんて書き込んだの?」私は書き込んだ記憶がないので昭にきいてみた。

 「それは、SNSのZの大統領のアカウントのポストに、(AIを禁止する事や他の惑星に移住する事)を提案したからだと思う」

 「なるほどね。AIに頼り過ぎると、自分の頭で考える事をあまりしなくなって、考える力がどんどんなくなってくるからAIを禁止した方が良いもね。なんで他の惑星に移住した方が良いなんて言ったのかは分からないけど・・」

 「それは転生する前の惑星が人間が住むには厳しい環境だったからだよ。科学の技術でどうにか人間が生活しているけど、将来的にみれば移住した方が良いと考えたからだよ」

 「なるほど。確かに私がそういう惑星に住んでいたら、私はそのような事、考えそうだね。全然、覚えてないけど・・・」

 「ここまで話をきいて、どう思う?」昭は私に真剣な顔をして言った。

 「大統領の真の目的はよく分からないけど、私としては特に不自由なく生活できているし、このままでも良いかなとは思う」私は言った。

 「でも、大統領の真の目的を知れば、そんな事は言ってられないと思うよ」昭はそう言って、小さな手帳を私に渡した。私はその手帳を見て、思い出した。

 「あっ!この手帳、もしかして猫がくわえてたやつだ」私は手帳を手に取り中身を見た。

 「なんで、昭がこの手帳を持っているの?」私はきいた。

 「それは、その中に私の名前が書いてあったからだよ。それで警察から私の所に届けられたんだ」

 「そういや、今井昭って書いてあった。他の文字は全く読めないけど・・。これって昭さんが書いたの?」

 「いや、私が書いたわけではないが、書いた人物が誰かは分かっている」

 「ええええ」私は驚いて声をあげたのだった。

(続く)

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