第42話 啓太、猫に転生しちゃった?
「今までのあらすじ」
鈴木愛衣(あい)(女性)は大学生で、科学技術が発達した惑星(アース星)に住んでいた。愛衣の心(魂)は、大統領の計画で邪魔者を排除するために他の宇宙の惑星(地球)の川原知人(かずひと)(男性)という名前の胎児の中に送りこまれた。大統領の次の計画は川原の友人、啓太を猫に転生させる事である。
愛衣は今、川原知人として生活している。愛衣は昔の記憶は覚えていなくて、最初から川原として生まれたと思っている。川原は現在、大学院で哲学の研究をしている。
「第42話 啓太、猫に転生しちゃった?」
ここはカフェ。啓太が席を離れてしばらく時間が経ったが、啓太は戻ってこなかった。啓太にLINEでメッセージを送ったが返事は帰ってこない。既読にすらならなかった。啓太に何かあったのかもしれないと思ったけど、単純にスマホのバッテリーが切れただけかもしれない。戻ってこないのも単純に自分の家に帰っただけかもしれない。家に帰るなら私にひと言、言って帰ると思うけど、私が聞き逃しただけの可能性もある。私はLINEで「戻ってこないので家に帰ります」と連絡にしてその日は家に帰ったのだった。
家に帰っても私は落ち着かなかった。啓太の言葉、カフェの窓の外からこちらをじっと見ていた小さな黒い猫の事が気になって夜も眠れなかった。ベットの中で私は「もし本当に啓太が猫に転生するような事があったら、どうしよう・・。でも、そんな事ありえるわけないよね」と自分に言い聞かせた。
だが、家の外から猫の鳴き声が聞こえてきた。私は急いで玄関から家の外に出た。そこには小さな黒い猫がいた。もしかしたら、啓太は猫に転生してしまい、助けを求めて私の所に来たのかもしれない。そう思い、猫に話しかけてみた。「もしかして、啓太なの?もし、啓太なら右足を上げてみて・・」猫はしばらくこちらを見つめてから、またどこかへ行ってしまった。もしかしたら、猫になると人間の言葉も分からなくなるのかもしれない。私は呆然としてその場に立ち尽くしていると、スマホに電話がかかってきた。啓太からだった。「知人ごめん。スマホのバッテリーが切れて連絡取れなくなって・・・。カフェにいた時に大学の教授から電話がかかってきて、それでわりと面倒臭い事になっていて、その事で教授と話していたんだ。それで、知人とカフェでゆっくり話をしている場合じゃなくなって、一応、遠くから「先に帰るよ」と合図を送ったつもりだったんだけど、知人は気付いていなかったみたいだね。ごめんね。その後、スマホのバッテリーが切れてしまって連絡とれなくなったんだ」啓太は本当に申し訳なさそうに謝ってきた。私は、ほっとしてこう言った。「そうなんだ。てっきり急に猫に転生しちゃったのかもと思ったよ。さっきも家の外にいた猫に、猫になった啓太かもしれないと思って話しかけちゃったよ」
「知人、面白い事言うね。その冗談、めっちゃ面白いよ」啓太は私が冗談を言ったと思っているようだが、私はわりと真面目に猫に転生しちゃった可能性があると思って猫に話かけてしまっていたので、少し恥ずかしくなったのだった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます