第29話 泡宇宙理論って何?
「今までのあらすじ」
ここは地球の日本。川原知人(かずひと)(男性)は、40歳の大学教授で哲学の研究をしている。川原の中の人は、鈴木愛衣(あい)という名前の大学生で、科学技術が発達した別の宇宙の惑星に住んでいた人間である。愛衣の心は、地球の川原知人という名前の胎児の中に送りこまれ、今は川原知人として生活している。愛衣は昔の記憶は覚えていなくて、最初から川原として生まれたと思っている。
これは川原が高校の時の話である。
「第29話 泡宇宙理論って何?」
マルチバースという言葉を知っているだろうか。
ユニバースは1つの宇宙。ユニは接頭辞で1つのという意味だ。
マルチバースのマルチは複数のという意味で、マルチバースは複数の宇宙という意味である。
エベレットの他世界解釈のマルチバースという考え方がある。私が何かを選択したら、他の世界に分岐するというものだ。例えば、私が文理選択で文系を選択した世界と、理系を選択した時の別の世界があるという考え方だ。私達が存在している地球は空間の3次元と時間の1次元があり、合計4次元である。他世界解釈などだと、他に空間次元が9次元あり、合計10次元だという説があります。宇宙は10次元と言っている物理学者がいます。
もう1つの考え方は泡宇宙理論だ。「母宇宙」というものが最初に存在していて、母宇宙から「子宇宙」がたくさんできるらしい。
私達の存在している宇宙は何もかもよく出来過ぎている。生命が誕生したりする事も奇跡的な事らしい。素粒子の性質が少し変わるだけで、今の宇宙とは別の宇宙になってしまう。泡宇宙の考え方は宇宙がたくさんあると仮定すると、1つくらい私達が存在しているような宇宙が、奇跡的な確率できるというものだ。
高校2年生になった。放課後の私(川原)と南川さんはたまに宇宙の話などをしている。
「宇宙の数は10の(10の10000000乗)乗個くらいあるらしいよ」南川さんが私に話かけてきた。
「とんでもない数ね」私は答えた。
「それくらいないと、この宇宙が存在するの理由を科学的に説明するのは難しいらしいよ」 南川さんは宇宙の事を本などを読んでよく知っていて、私によくその話をしてくれるのだ。
「そうなんだ。確かに、例えばサイコロが2個あって、ぞろ目になっているのを見て、サイコロをぞろ目が出るまで、たくさんふったと考える方が、1回だけサイコロをふってぞろ目になったと考えるより自然だもんね」私はぱっとひらめいた事を言った。
「そうね。サイコロ2個でぞろ目くらいなら、すぐに出るとは思うけど、この宇宙に起きている奇跡的な事をサイコロ2個とかそんなレベルの話ではないからね。サイコロがたくさんあった時にぞろ目になる確率を考えれば、たくさんサイコロをふったと考えるのが自然な事だという事は、わりと自然な発想だね」南川さんも私と話していて楽しそうだ。
「そういや、ドラなんとかでもこの地球と似たような惑星が別の宇宙だったか、別の銀河の惑星だったかにあって、そこに住んでいる人間は、あべこべになっているとかそんな話があったような記憶がある」私は、どらなんとかのアニメをよくテレビでみている。
「そうね。アニメでみた事あるような気がする。みんな性別が変わっていたと思う」南川さんもこのアニメは見るっぽい。さすが国民的アニメだけの事はある。
「性別があべこべになるくらいなら、たぶん素粒子の性質が微妙に変わるだけで、起こる現象なのかもしれないね」私は思いつきでわりと適当な事を言った。
(続く)
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