概要
異世界にだって、頑張っている社畜はいるんだ。
【カクヨムコン10ライト文芸部門特別賞受賞】
「大尉殿は――分遣隊長殿は、戦死されました」
派遣された部隊に着任したら、隊長は既に戦死していた。
/
「まずくあります。半方焼けてしまいました」
集積された輜重品は焼かれ、彼の俸給の3か月分以上が灰になっている。
/
「クソが、悪魔に喰われろ」
不十分な記録。
数字だけ整えられた帳簿。
前任者のいない引き継ぎ。
/
「しかし、とは申しましても、当家や領地の備蓄にも限りがございます」
子爵家の家宰は表情を変えずに言った。
それでも彼は、ここから必要な物資を調達せねばならない。
/
「期限は?
それと、報酬」
冒険者と交渉し、
/
「仕事が早いな、新任の隊長殿は」
「小官は代理です、少佐殿
「大尉殿は――分遣隊長殿は、戦死されました」
派遣された部隊に着任したら、隊長は既に戦死していた。
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「まずくあります。半方焼けてしまいました」
集積された輜重品は焼かれ、彼の俸給の3か月分以上が灰になっている。
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「クソが、悪魔に喰われろ」
不十分な記録。
数字だけ整えられた帳簿。
前任者のいない引き継ぎ。
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「しかし、とは申しましても、当家や領地の備蓄にも限りがございます」
子爵家の家宰は表情を変えずに言った。
それでも彼は、ここから必要な物資を調達せねばならない。
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「期限は?
それと、報酬」
冒険者と交渉し、
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「仕事が早いな、新任の隊長殿は」
「小官は代理です、少佐殿
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!仕事は続く。上司が戦死しても、ろくでもない案件が舞い込んできても。
職場に着いたら上司が死んでいた。
残った引き継ぎ資料には何ひとつ中身が無い。
いやよくよく調べてみれば汚職を働いていた跡だけはある。どうしろと。
軍隊ものといっても兵站、物資の手配を行う部署で、言ってしまえば、描かれるのは日常業務と、それを大過なくこなす事だけだ。
けれどそれを描く物の解像度の高さ——先任軍曹がいる軍隊の描写や、丹念に拾われる業務内容や、描かれた人物の人柄、酒場にたむろする冒険者たちといった——で読ませてしまう。
そして仕事ものであるからにはもちろん予定外の業務が飛び込んできたりもするし、軍隊にとっての“予定内の業務”とはすなわち想定外の戦闘なのだ。