青い記憶

もう一度だけ。そう願っても想いは届かない。

かすかに濡れた指先でキャンパスに触れると、まだ乾いていない絵の具がじんわりと溶け出した。

貴方の描く空には、人を惹き付け、吸い込んでしまうような魔力がある。

私の描いた空にはない、広がりが、色が、匂いが、温度が混ざり合って、人の心を揺らすのだ。

もう一度、一度だけでいいから、貴方の絵を見たい。私を変えた、貴方の絵を。

貴方の色を、輝きを、世界を、私の瞳に焼き付けたい。

私の青で染まった指先が、私の心を汚す前に。

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