六章

「俺が?それはまたどうしてそう思った。」

「仕事中にすまないが長話になる。簡単に説明するとな…」

「いいや。君が言うなら構わないよ。話してみな。」

Tは優しさで包んでくれた。


「実は、ある人とまだ調査を続けていたんだ。そしたら君が犯人であるという言葉が見つかった。」

「それは、何に綴られてあった?」

「遺書だ。」

「遺書ねえ。見間違いではないか?」

「いいや。あからさまに君のネームである「タクト(T)」と書かれてあったんだ。」


これは嘘だ。ただアンナの言葉をTであると関連付けたかったのだ。


「なるほどねえ。まあ、俺には知らないけどよいか。」

「よいと言うのは。」

「俺はやってないが、それならそれでいいかなと。そもそも俺のネームである「T(タクト)々というのは本名じゃないんだ。ここだけで打ち明けるとな。」

「! やはりそうだったのか。タクトというのは本名では無いんだな。」

「うん。本名は個人情報なんだよな…。言わなければいけないか?」

「いいや。深くは聞かない。それだけでいい。それなので、君が犯人だと思っているんだ…。キリサナやアンネさんの操りの。そして事件を起こさせたり、殺人を発生させたりしたんだ。ユウマも殺人犯として捕まっている。」

「そうなのか…。……。」

「間違っているか?」

「いや合っているよ。俺が犯人だよ。」

「! 素直に認めたと見えるが、俺をそもそもから尾けていたとも認めるか。」

「それは俺では無いね。」

「そうなのか?」


どういう事だ…。側の王も考えている。Tに嘘を付いているようには考えられない。彼は本音を言っている。

「何故、キリサナやアンネを操っていたんだ。」

「人体の身体の研究の為。本当に悪い事してるんだが、殺人や事件があったら怪我人が出るだろう。それで人体の研究が出来たらなと思ったんだ。すまない。まさかバレてしまうとは思ってなかったよ。何もかもを、完璧に操っていたつもりだったんだ。」

あの家への予めの侵入も認めていた。アラタの事は何気に察知をしていたらしい。これはくじ運感覚だ。

「その遺書って何処にあった?」

「ユウマの家だ。」

「ああ……。スーパーではなかったんだな。家か…。もしかして、化けて出たのか。」

「フ。そのとうりだ。」

Tは全てを認めた。


彼もこれから王の城の牢で監禁だ。

Tは全てを認め、職場に打ち明け王の城へ向かった。

王は城には言い聞かせてあるらしいがメッセージを送った。

しかし全てに終止符を打てなかった。

病院を出て、王は一旦国の仕事で帰る事になった。「一旦は君の家でゆっくりと休むといい。何も起こらないと思う。」と言う。何かを考え込んでいる様子だ。しかし帰り際には優しい笑顔を見せてくれた。

家に帰るとすっかりと夜になっていた。着替えをして、食事を取って、体を洗い、就寝に入る。

何事も無い。あの王が言うからには確信が持てる。安心して眠りに入った。

目が覚めると普通の昼前の朝だった。

そしてメッセージが何件も来ていた。スバルからだ。


「お疲れ様。フリー。真相を教えてあげられる。知りたければ「戦後の泉」に来るんだ。」


何だ、このメッセージは……?!


彼は俺がまた調査をしたのを知っているのか……?

ある可能性を思いながらこちらに向かう事にした。戦後の泉……って、確か地球には無い所の筈だ。前に王が開拓をした海王星の地域の中にそのような名前の場所があった筈だ。調べてみると確かにそのようだった。

海王星か。

行くには通貨の付く乗り物にならなければならない筈だ。この都内からは少し遠くまで距離がある。しかしこれは真実を語ると言っているようだ。彼は全てを知っているのだろうか。身支度をしてから外へ出る。すると玄関前にスバルが目の前に居た。

そして「待て!」と言った。

「スバル。俺は今君の言うとうりに…」

「それは俺じゃない。もしかしたら騙されてはいないかと思って来てみたんだ。君の所に、真っ先に。」

「君じゃない…?真っ先に、という事は他にも誰か…」

「そうだよ。黒は勿論、マアサやTもやられてる。」

「誰がそんな…」

「発信元をマアサに確認中だ。」

「そうなのか。後、Tの事なんだが」

「それは俺も知ってるよ。新聞に載ってたしマアサも言ってたし。」

「そうか。なら俺からは用事はない。君からのメッセージでは無いと知れた。俺は無事だよ。中に入るか?疲れたんじゃないか。」

「あー…よく分かったな…。本当はここでちょっと君と休めたら良いんだが、そうもしてられない。マアサと会って俺も一緒に偽物の出所を掴むのを手伝いたい。」

「そうか。…では、俺も同行をするか?」

「流石。察しがいいな。頼む。君なら事態を解決に向かわせられそうだし。」

「いいだろう。ああ、その人任せな態度を他の人の前では出していないよな?」

「おう。君だからだよ。」と少し照れ臭そうに言ったが正直で良い。俺も直ぐに向かった。マアサはメッセージが届いて直ぐにスバルに返信をしたらしい。すると彼の画面に見知らぬ内容の返信がマアサから来ていた事で互いに察したそうだ。Tは牢に入っているのでそもそも返信をする気にもならずに無視をしていたスバルから確認のメッセージが来て理解をした。

警察署に向かう途中に歪な形をした人では無いような者が数体、現れた。

これはまるで前の王の身体の中から生まれ発生をした意志無き存在と同じような感じだ!

俺は両手を拳銃と言われる形にして気を集めて発射を。スバルは懐から札を出して念じて炎を出して放った。するとその者は音を奇声のように少し発して動かなくなった。そして全体が硬くなり、砂のように粒子状になって崩れ、地面の下に透けるように消えていった


俺達は勝利をしたと見做したので、署へと再び歩みを進める。

署ではマアサが機械とにらめっこをしているように見えた。

「ああフリー君!良かったわ、無事で。」

「いや騙されていたかもしれない。」

「こうして無事なのが良いのよ。」

「スバルが教えてくれた。」

「よくやったわね。スバルさん!」

「焦ったんだよ。」

「今ね、偽物の出所を調べている最中なの。何処から来ているのか、探しているわ。」

「出所…。掴めるといいな。」とスバルは暮夜いた。これはどうした事だ。

「ええ。やれる事をやっているし、がむしゃらになってしまわないように気を付けてもいる。何かあれば良いけど……」

スバルは真顔だ。俺は思わずマアサの手を止めた。「スバルは今、海王星だ。」その瞬間、マアサはスバルを見た。

するとスバルは居なくなっていた。

「何これ……。結局、騙されていたという事……?」

「いいや。ある意味本当。」そう言って上にある蓋を開けたら水と共にスバルが落ちて着地をした。

「? ? 何故……?うちの署の上に、水……?そのような事をした覚えは……」

「これはスバルがした事だ。」

「海王星というのはこの署の2階の事で、水の部屋になっていたぞ。溺れるかと思ったがな。マアサさん。貴方は実際に海王星に行こうとしていた。多分フリーもなんだけどさ。メッセージは、アラタに頼んで俺の機器と同じIDをもう一個作ったんだ。違法だが助かった。」

「ど、どういう事。つまり、朝のメッセージはアラタさんの作ったものだったという事。署は、私を騙していたという事。フリーさんも、私の、敵か。」

俺は上部の言葉だが「そういう事だ」と言った。


「貴方は何者だ。マアサを装っているが。」


そうスバルが言うとマアサは固まった。砂状になり、崩れて下に消えて行った

「やはりな。」とスバルは言う。

彼の言葉から空気を察知したので合わせていた。このスバルも怪しく見えてしまう、海王星とは、何の事だろうか。本物の海王星なのだろうか。それとも彼が称したこの署の2階なのだろうか。水で全浸水していたというのも大方違うだろう。それなりの量の水を浸水させて何がしたかったのだろう。マアサの事を偽物だと思っていたのは間違い無い。

「皆、落ち着いてくれ。本物のマアサこそが海王星に居るよ。そしてさっきここに居た俺はまあ俺なんだけど、こういう事だ。」

彼は両手を合わせて何かを唱えると彼が二人に分身した。そして一方が消えた。

「こういう事。これでさっきは上へ移動をしていたんだよ。」

とするとこのスバルは俺と今日初めて会ったスバルそのものか。

アラタから力を借りるとは。スバルが捜査に協力して欲しいと請うたらしい。2階の水は、海王星をイメージさせた。ある意味本当の事であるという瞬間を偽物のマアサに見せ付ける為。そうする事で「騙された」という感覚を芽生えさせ、署から居なくなるきっかけに繋がる。二階は乾かしておくそうだ。器具等も問題無いという。

スバルは最初からマアサがまた偽物だと分かっていたらしかった。その出所が何処かは恐ろしい可能性を考えているみたいで青くなってる。具体的には、昨夜に突然メッセージで「黒君、風邪を引いていない?元気?」とマアサの別のアカウントというものから来たから警戒をしていた。その時に何らかの監視人のような者の可能性を感じた。そのアカウントに「明日に署へ行った後、海王星へ行ってくる。」と返事を返したという。海王星は何気なく吐いた言葉だ。すると「明日の署で待ってるね。」と返ってきた。そしたら翌朝にマアサの本来のアカウントから「私、何者かに連れてかれてしまったわ。その上に場所は海王星だ。」と来ていた。スバルとよく似せたアカウントは案の定何者かに使われていた。偽物の彼からメッセージが送られていたのだ。

機器を確認する。スバルから来たメッセージ。偽物。スバルのアカウントの画面を確認する。すると今朝のメッセージだけが文字が壊れていて機械文字に変化をしていた。

「あれ?重複アカウントじゃなくてそのまま俺のアカウントから送信されているか?そうか…。しかし俺の画面からは、誰にも何も送ってないんだよな…。重複アカウントを作って様子を見ていた筈なのに、統一されたのか……?」

「マアサを狙う何者かが居る。その者はスバルの複合アカウントを使ってメッセージを皆に。重複は統合されてしまった。という訳だ。混乱するが、簡単に説明するとこうだ。」

「本物のマアサさんは海王星…」と警官は言う。そのとうり。そして、彼女の偽物を作ったり出来るという事は経験上からある者が思い浮かぶがその者では無いような気がする。今朝の体験からの直感だが。

皆に説明をした。今回の手掛かりは砂、という事だけだ。そして前の事件のような存在が現れたりした。外にはあれが一つだけだったように見えた。一応調べてみると、あのような存在が現れたという情報は無い。

まさか王がまた自らの何かで創り出したか、と思ったりしたがその線は薄そうだ。マアサを狙う者が創り出したのだろう。

「その者は今、海王星か…?」

「恐らくはな。アラタのように気で居場所を変えたりする者で無ければ。」

「それを考えると混乱するが、幾ら相手も子供じゃないと信じたい。」

「流石に分からないが、出来る所を調べて行こう。」

先ず、流れて行った砂が気になる。

「ああ。あれは透けて行った…。何も手掛かりは無しにしか思えない。」

……

……………


恐らく、まだ終わってなどいないからだ。


「スバル。この件の犯人は分からない。まだ終わってなどいないのだ。」

「ああ。偽物の俺が君に送っていた。真相を知りたいなら…のような。」

「監視人が犯人かもしれない。実は昨日、王と一緒に捜査をしていた。」

「そうなのか?やっぱりまだ終わってなどいなかったのだな…。何か奥底で引っ掛かっていた気持ちになっていたのだよ」

「やはり、知らなかったのだな。」

「ああ。今初めて聞いたよ。この偽物の俺はどうも知っているみたいだよな…。昨日、王と調査をしていた時に何か誰かを感じなかったか?」

「いいや。特に。視られている、のだろうな…。」

「結局、Tが張本人では無かったのだよね?」

「ああ。何やら違っていた。振り出しに戻ってばかりだ。」

「取り敢えず、このマアサの件だ。」



まただ、この違和感……


先程も彼は妙なタイミングで「見つかるといいな」と言っていた。


ともあれ、監視人はどのようにして見つけ出せるかだ。俺はまた宙に話しかけてみた。しかし返事は何も返って来ないばかりだ…。

しかし、マアサを攫った犯人こそが監視人張本人かも分からない。「なあフリー。」とスバルが話し掛けてきた。彼の提案で署の外に出る事にした。署内は普通に仕事を続ける事となった。署長は他の署から別の者が来る。それもスバルの提案だ。採用されるとは彼もまた幼いのに社会的地位が高くてよくやる子だ。

外に出るとスバルが小声で言った


「フリーを視て尾けている存在など、そもそも居ないのだと思うぞ。」


スバルは既に分かっていたようだ。

そっけない態度を取っていたのはそのような事か。俺と同じような考えを既に彼も何処かで持っていたのだ。感じた矛盾はそういう事か。では多発をしていた事件は一体。それは「偶然。」と言った。ただ、今はマアサが攫われた事は事実だからこの件を調査するべきだという考えはお互いに一致をした。

メッセージには海王星の「戦後の泉」とある。海王星の地域にその名前の地域が開拓をされた。これから二人での捜査だ。足を上げると後ろから「その必要は無い」と言われた。振り向くと王、センタロウが居た。


「君達は海王星へ行こうとしているのか…」

「そう。マアサを連れ去った犯人が居るかもしれない。」

「私が行くよ。君達はまだ疲れている筈だ。ゆっくり休むといい。」

この王になら安心かもしれない。スバルに聞こうとすると彼は居なくなっていた。

「素晴らしい瞬間移動だね。」

「スバルは何故…」

「教える。」


センタロウは俺と署の裏へ回り込んだ。そして教えた。




「彼だよ。張本人。」




その瞬間身に悪寒が走った

同時に、何やら納得感もした


王は向こうの木に下がってる土竜のネックレスを取ってきた。「これを君にあげる。」とくれる。「土竜はこれを忘れて海王星へ行ったんだ。マアサを連れ去る時に。」

という事は、マアサを連れ去った犯人は土竜か……。単に、日頃からの何かを発散させようとしたらしい。メッセージは全てスバルのした説明のとうりらしい。が、土竜は偶々マアサを海王星へ誘拐した。何者かに命令されていたのだとか。しかしそれはスバルでは無い…。


実はスバルは自分自身が俺への尾行者であるのが無自覚らしい。様々な事件を引き起こした元凶人であるのだが、自身では普通に自分の出来る事を働いているつもりなのだとか。

「彼は逃げてはいません。」

「うん。そうだよ。ちょっと用事を思い出しただけなのだろうね。俺が行くと安心出来るものを感じてくれたのだろうね。そうとなると、彼なりの仕事もあるだろうし。」

「うん。全ての仕事を終えたら帰って来れる。」

「そう。メッセージは何者かに乗っ取られたのは本当だよ。」

「王様は、その人物を」

「私にも未だ分からない…。」

王は少し笑った。

この王は不思議だ。俺がこの者から生まれたから敵わないを感じるのかも知れないというのもあるかもしれないが、何でも知ってる。普通、その人の事情を当人は言ってもいないのに明確に詳しく知れる等有り得ない。まるでこの世界の主のようだ。しかし、アラタのように自分で世界を作って支配をしているのでは無いのでそれは有り得ない。これはこればかりとして謎だ。この者は何者なのだろうと考えても分からないし、明確になった事等、俺にも無かった。

しかし、この者と一緒に居ると安心を出来る…。調査はスバルのもう一つのアカウントを乗っ取った犯人を見つけるのが目的だそうだが、この犯人が厄介な事をしているらしい。この者を見つける為に自分は動いているという。スバルも恐らく既にそうしている。自分が出来る事は一旦家に帰って考え直したい。そう思ったが王は「そうする事も無い」と言う。犯人は意外に近くに居るのかもしれない。


王は海王星へマアサを助けに向かった。意外と身近、か。そういえばスバルは張本人だったそうだがこれもまた意外と身近だったが驚いてはいない。世界はそのような事実をやはり映し出すのだな…という感じだ。実は何処かでひょっとしたらそうなのではないかという考えはあったのだ。日常が普通に戻っていた。意外と身近、というと……


俺の家の隣の家に住む隣人を思い出した。

そういえばあの者はよくトラブルを多発している。何かを叫んだり壊したり警察が来たりしている。その度に何があったのかが気になっていたがよく考えると何故そこまでトラブルが発生するのだろう。それとは関係無いかもしれないので一旦はいいか。手掛かりを探そうと思ったが身近と聞くと余り動かなくても良いような気がする。アカウントを乗っ取る犯人と考えても分からない。王曰く「余り気にする事でない」というので元の日常に戻る事にした。家に帰り、帰りに買ってきた飲み食いで久し振りに鍋を作る事にした。余りにも色々にあった。このような事をして癒されたい。

隣からまた叫び声が聞こえてきた。かなりよく聞こえてくるが、何があるのだろう

何者かが何者かへ怒鳴っているような感じの声だ。

鍋が終わるとゲームをしたくなった。または読み物がしたい。機器を開いた瞬間にメッセージが来た。スバルだ。


しかしその文は文字が機械化していた


何と書いてあるのか全く読めない。

それともこれは犯人がまた乗っ取って送ってきたのだろうか。

何にしても、読めないのではどうしようもない。機械化した文字を言葉に直すものがあるが今はそれは俺の機器では制限が掛かってる為、使えない。するとマアサからメッセージが来た。海王星から帰ってきたらしい。しかし何者かに連れ添われて帰ってきたという。今は家で休んでいるそうだ。犯人は土竜であるのを教えた。すると分かっていたかのような感じの反応だった。マアサにスバルから送られてきた機械化した文字を転送して直してもらえた。


「王との調査、どうだった?」だった。

そもそも自身の文が機械化しているのを伝えた。「ああ…。やっぱり乗っ取られてるのかな…」と来た。王の説明をしたら問題無さそうだと鷹を括った。普通の日常に戻れた。スバルに自分が俺を尾行していた張本人だと教えても何の説得にならないと王は言っていた。何気に俺はゲームをしていた。アプリでパズルやキーボード打ちが嵌る。やっていると爽快な気になる。次の記号をタッチしたら…クリアだ。このようにランダムでスピードで来られると先が読めないので楽しい。例えば何気ない家具…掃除機が音を立てて急に鳴り出しそうな感じで何があるか分からなさがいい。海へ壮大な冒険をした気にもなれる。森へ……一瞬で冒険をしているのに何時間も体験をしているような感覚だ。楽しいのだ。次の記号をタッチしたら……

その時、物音がした。何かが落下をするような感じだ。家の外に出て少し上に飛空をして見てみると遠くで火事があったようだ。


前の事件の時の職場の近くでの火事とそっくりな気がした


同時に、その家から走って出て行く影を確認した。あれがこのような事をしたのか。

飛空はぶつかるから降りた。その者の走った方向へ追いかけてみる。

待てよ。今のは追いかけてはならない

あれはどうも……


俺のように見えていた


あれは俺だ。勿論偽物だ。これは報告をするべきだ。先ずはマアサだ。

ふと思った。

王にも連絡をするべきではなかろうか--?

しかし王は俺達と暮らしている世界というようなものが異なっているようなのでどうしようも無い…。もしまた偶然に俺の前に現れてくれたら良いのだが

メッセージが来た。マアサからだ。

「今、君の所で火災が発生したね?何か気になる所があったら教えて欲しいわ。」

素直に見た事を伝えた。返事は直ぐに返ってきた。

「それはアラタさんの仕業かもしれない?或いはまた何者かが動いているのかしら」

分からない。アラタは城の牢で監禁中だ。するとメッセージが来た。アイコンはスバルの書いた習字なのだがネームは文字が機械化している。文章は機械化をしていて読めない。ふと一覧を見てみると普通にスバルのアカウントがあった。それとは別のアカウントのようだ。もしや今見ているこれこそがスバルがアラタに頼んで作ったと言われるもう一つのアカウントなのでは無いのだろうか?

これが乗っ取られていただろうか。統合をされてしまったというよりは単なるサイバー問題かもしれない。しかし同じスバルのアカウントにも接続をしている。何者なのだろうか…

送られて来た文章をマアサへ送って翻訳をして貰った。忙しいのに有難い。


「読んでいた古事記が面白かったから奮発した。ご馳走でも食べに来るか?今、パーティーをしているんだ。」だった。


返事はしない事にした。そしてこの文をそのままスバルのアカウントにコピーをした。家に戻り、横になる。空の中を飛んでいる自分が空想されて物思いに耽った。雲の下に見える景色は自然が多くて癒される。そこに降り立つと…とその世界に入っているとメッセージが来た。マアサから「君の家の隣人が犯人よ。」と来た。


悪寒が走った


隣人。隣の。

という事は


スバルからは「こんなの誰にも送っていないぞ…!」と青い顔が垣間見えるように来た。

火事の犯人は今は捕まっているという。念の為に、容姿を聞いてみた。そしたら怪訝そうにマアサは「フリー君そのもののようで…。偽物かしらね…。」と言った。偽物だ。そしてそのような事をした人物を探すべきだ。いや人では無いのかもしれない。物かもしれない。が、根源を探す。困る。

この事はスバルやTにも伝わった。Tは元が悪人では無い上に有能な医者の為、直ぐに牢を出た。また探すという。俺も探したいが、外に変に出るとまた同じ人間が二人も… 双子と思われるだけかもしれないが、向こうが悪さをしたら俺に来る。それはまあいいが厄介になると世が大変だ。家の中に居る事にするのが良さそうだ。それを説明したらそのとうりだとマアサもTも言っていた。そして、マアサの調査で隣人の家の機械から他者への通話アイテムへの不正なアクセスが確認された。スバルのアカウントへのアクセスだった。


隣人が犯人だったとは……


隣人は俺がまだかなり幼い時から既に住んでいて、偶に無心な程静かになったり人が多く訪れたり物凄まじい音が発生したりしていた。それ程では無かったのだが、妙な家だった。

隣人が、犯人。それはいい。俺の容姿。そのような事が出来る者に力を借りたのだろうか。俺へ何の念が。火事は直ぐに消えた。被害者は無し。空き家だった。マアサの調べで犯人は容姿が自らの意志で骨格や肌質やら目の色やらを変える事が出来る者である事が判明をした。隣人である俺に罪を擦りつけようとした動機で俺になっていたと推測という。


考えは変わるが、スバルは自身が張本人であるがそれはかなり前…マダラが干渉する以前に辞めたらしい。自分にはやる事があると悟った。アラタの件は偶然…。この火事は……

…… ……………


ふと思い、家の中をもう一度見回す。

特に何も変わった所は無い。では、隣の家は…?二階の窓から隣家を見渡す。

すると何者かがこちらを見ているのを確認した。しかし直ぐに隠れた。あれは隣人の知人の者だろうか

俺に変装をされたので会いに行くべきか否か

相手にも事情があるのか 俺への縁があるのか 恨まれているのか 会いに行って攻防沙汰になったら大変だ。万が一だが。

そう悩んでいたら下から音がした


まさか入り込まれたか?


俺なら戦える自信はある。意を決して下に降りる。リビングに何者かが居る。静かに覗いてみると


黒い羽を付けた大柄な者が居た


しかし何やら見覚えのあるラインだ


その者はこちらに気が付いたのか、ふっとこちらを見た


………ガクルスだ。

「おうフリー。久しぶりだな。」と言う。

直近で兄さんの殺人を手助けをした有罪人。人外なので捕まらなかったのか……?


「待っていたぞ。フリー!元気にしていたか?」

「こんばんはガクルス。貴方のした罪を知っているぞ。何で牢にいないんだよ」

「天生(ヨハン)の事か。あれは申し訳無い事をした……。私は彼に更生をさせている真っ只中だ。彼の生活を潤してあげたかった……。近くの裕福な者が通貨を賭けた遊び好きな上に路上で仕方無く住む所も無く泥水しか口に出来ないような者を貶したりしていたのを許せなかったのだ……恥ずかしき。」

彼は彼なりの正義感があったのか。あの兄さん、ヨハンと言うのか。名前は今初めて知ったが、彼の貧しい生活を見て支えながらその裕福な人の人間性の悪さが正反対的に目に付いてしまったという事か

やはりガクルスも根からの悪人では無い、か。した事は悪いとする事だが強欲などでは無い。牢は出たそうだ。彼の根が悪人では無いのが理解をされたのだろうか。本当は戒めの為にもっと捕まっていたかったらしい。「出れたなら貴方の場合は悪くは無いのではないか?」と言うと「いいや。マアサの判断が甘いのだ。」と言う。マアサの所だったのを思い出した。彼を良しとして見做したのだろうな。「フリー。君は今、何をしている?私は君に久しくに会いに来た。この家の庭の植物達が今は無いのが残念だが。」

「隣の家の者から、何かしらの念をされているかもしれない。俺からは何もしてあげられないよ。残念だな。帰るといい。悪いが。」

「君がか?この家の、隣の者?」

何かに目を付けたようだ。彼も同じく二階に行き、窓から確認をする。

「…………。」

無言になっている。が、少し考えた後に「行こう。」と言う。「ああ、君が怖いのであれば私が一人で行こう。」と助長してくれたが俺も確認はしたいので一緒に行く事にした。

隣の家の玄関で呼び出しを押す。

……出ない。

もう一度、呼び出しを押したが誰も出なかった

ふとこの家の二階を見ると、何者かがこちらを覗いていた。姿は中が暗いのでよく見えない。ガクルスは「何という事だ……」と青褪めている。


「あれは私達が殺害をした筈の男だ……!」


蘇ったのか?

見間違いでは無いなら何があったのだ。

遺体は確か、分けられて臓器提供となった筈

繋げられた?命を再生された?一度死んだ者を甦らせる人間は居る。が、数少ない。そのような事が出来る人間は我が国でなら誰が居るかも分からない程だ。個人的に真っ先に思い着くのはあの王なのだが………

「強行突破だ。フリー。」

そう言って俺を掴み、この家の二階へ飛び、窓を開けて中に入らされた

飛空は何者かとぶつかったり変わった波も飛んでいる可能性があるから好みでは無いのだが、この屈強な外星人が守ってくれた。

しかし中はまた誰も居なかった。ガクルスが上に上がる一瞬を察して既に下に降りたか?

取り敢えず、この部屋を調べさせて貰おう。別に個人の私生活の風景にまで見ようとは思ってもいない。ただ、手掛かりがないかを調べさせて貰うだけだ。すると真っ先にガクルスが下へ向かった。俺は先にこの部屋を調べたい。探し回ったが特に変わったものは見つからない。その時下で物音がしたので行ってみる。


部屋のドアが開いていて、風景を覗くとガクルスとあの生首が身体と繋がっていて目を開いて立っていた


ガクルスがこちらに気が付き「今は取り込んでいる。」と言い、波でドアを閉めた。中で何が行われているのか?会話のようなものは聞こえてくる。しかしその声の声帯がこの世の者とは思えないような響きだ。それと交えながらガクルスの低くて綺麗な響きの声も絡むようだ。会話の内容は「わいは好きで変な事をしていたのではないんだ」「貴方は己の邪なモノだけで悪事を働きまくっていたのだ。」「酒が美味かっただけだ。世には正当な仕事もしていたし。」「それが実は己の怠惰な欲だとは気付かんのか」「分かる訳は無いね」のようなものだ。口喧嘩……と言ってしまえばそれで終わってしまう。人と人の価値観がぶつかり合っているようだ。少しするとどちらも折れたようだ。「話しても無意味か」と両者が言う

「ともかく、貴方は生き返ってはいないのだな?」

「そうだよ。俺は確かに変な事をしているくらいには汚れていたから死んだのでまあ折角だからこの世に無くていいかと」

「そのように言うのは少し反省をしていないのが窺えるものだがな。成仏をするのだ。あちらで地獄で反省をしなさい。」

会話はそのようにして終わった…。

生き返ってなど、いない…?

するとガクルスがドアを開けてこちらに戻った。中を見るとそこにはあの生首の遺体の身体が横に倒れていた。動いていないようだ。

「フリー。終わったぞ。この者は、この家の元保持者だ。」


保持者。


こちらの家に憑依をしたらしい。引っ越したのは割と最近だ。あの兄さん、ヨハンが殺害をする少し前だ。それまでに聞こえていた叫び声や物音は全て、この者だったというのだ。しかし、この家の今の主はまた別の犯罪人だ。何やら身近で色々発生して狙われているような気になるがメッセージを見てみたらマアサから来ていたので確認をすると、火事の犯人は動機がただの空き家だからという理由で放火をしたらしい。職は有り。精神病の診断を下されている。自分の容姿を変えられる力が有り。最近聞いていた物音はこの者のだったのだという。奇声や物を投げる音、爆発音など、だ。数日後に牢から出るが精神病院に入院させられるらしい。

俺達はこの家を出て隣の我が家に戻る寸前にガクルスが「あの者と話を付ける事が出来た。……まあ少々ずれはしたがな。君も元気そうで何よりだ。いや疲れているようにも見えるがな。休める時に休むのだぞ。では、またな。」と言って去って行った。あの者の身体の事が謎だ。あれは霊体では無いように見えたのだが。

………まさか


この家の今の持ち主は気が狂っている

或いは闇の者かのどちらかか両方だ


あの生首はTは正式な所と思って何処かに提供をしたに違いが無い。身体のパーツはそれぞれが実は全てがあの家の主の職場などにあるのだ。

部屋に戻り、ベッドで横になる。


マアサに隣家にある遺体の事を教えるべきか……?


しかし世の中というのはそもそも闇に満ちている。この事を教えるという事がそもそも正当なのだろうか。迷う事しか俺には出来ないようだ。

Tからメッセージが来た。


「ガクルスとさっき会ったんだが、君の事を何か言ってた。自分の家の隣家に入ったのだな。生首があったか?それとも身体もあった?」


素直に見た事を伝えた。

すると了解をした。それだけだが、そもそもこの家の今の主の事を知っているのだろうか?問うたら「知ってる。」とだけしか言わない。眠気が来たので眠り、目が覚めるとスバルからメッセージが来ていた。


「フリー。お前の家の隣家の人間は何かヤバそうだぞ… 昨日、何か来たんだよ。あの工場での殺人の被害者が。こちらに。フリー、何か昨日したか?君が来てたと言ってる。」


あの家の主の事と見た事を話した。「君のことはよく知らないと言っていた。眠っていた所をガクルスに起こされたと言っていたな。何もしてないならいい。」と返ってきた。何か体調におかしな所があれば取り除くという事だった。特に何もない。そして二階から見えた何者かはその被害者の霊体では無く、今の主で確定だとのこと。俺には何も因縁関係は無いだろうとの事。ただ目が合わさっただけだろうとの事だ。或いは俺の事が何らかで隣に知れ、自身がバレないかと監視をしていたのだろうかだ。何れにせよ、俺への干渉は無しというのが下されたという。主は了解をした。マアサの説明だ。再び横になってゲームをする。先日遊んだパズルをする。あまりにも綺麗に出来ていた仕掛けが楽しい。良い一時に浸れる。布団が雲のようだ。柔らかい。このまま眠ってまた明日、散歩にでも行こうか。それとも今外出をして観光地にでも行こうか。あの自然の観光地がいいな。今は何も起こらないと思うし。身支度をして家を出る。一応、隣家を確認したが何も普通だ。自然に向かう道中にまた何かしらのものが現れた。が、今回は小さい。そして粘液状なので手で潰せた。そういえばこの人外のような存在は王は誰かがやってるが自分のように出来てはいないので遭遇しても倒せるとの事だ。誰がやっているのかは「こちらは割と遠い所からだよ。」と笑っていた。偶に出ているらしい。が、それ程の事でも無かったのでニュースにはならないそうだ。その内やらなくなる、との事だ。自然観光地に着くと緑の香りが心地よい。このような場所で踊ったり走ったり出来たら良いな。少し広間があるのでそこで俺の生まれを思い出しながら足踏みから始まり、全身を動かした。我が主よ。レイは今、何処かな……?


………王、貴方の肢体の中に、帰ってしまいましたか……?

貴方の強力な心臓は俺に無心を与えたのかもしれません。

貴方の生態性のある脳は俺に優秀な思考回路を与えたのかもしれません。

貴方の万物をも溶かす胃液は俺に人とは異なったものを与えたのかもしれません。この前は気をも凝縮させて固める事が出来ました。

俺は貴方に対して、生きる喜びを見出します。

嗚呼、主様…

身体を動かして、回る。ここは世界のいう名の弱肉強食だが何処までも美しい世界らしいですが、私からしたらちっぽけに見えます。なのでただただ私らしく生きていますが、そこに喜びを見出しています。私が主様から生まれた事が自分自身として居られるという最大の幸福なのでしょう。この世界に冒険をさせて頂けたのは個性的な愛だが、それによって僕が僕であるという意味を見出す事が出来ました。それは確実な幸福ですね。主様、有難う。


身体を動かしてこの昼間だが青空に見えるあの一番星に対して手を伸ばした。

いつか、この世界から還る時は再び貴方の中で楽しく過ごせるのを、心待ちにしております


その時くらいは、僕の本名を教えて頂きたいです。


そうして僕の舞は静かに落ち着いた。

フリーというのは僕のあだ名だ。レイが付けてくれたものだ。その前は「アルト」「名無し」「ボーイ」と呼ばれていた。名前が無いからだ。小さい頃呼ばれていたのはとにかく何でも。ロボット、おじさん、ナイト、ジョーカー、おーじさま、ルシファーという上の世界のようなネームまで様々。生まれた時から俺は名前を教えられずにこちらの世界に来た。王、センタロウの身体の中は人とは違っていて、生命の生成の宝庫となっている。全ての臓器から生命を持つ細胞が生まれている。そういう彼の身体が何故そのように特異で誕生したのかというと、彼は近親相姦で生まれているからだと言われている。

俺はその彼の中から生まれた存在で、両親も居るが二人も王の中から生まれている。俺は生まれた時から王から特別とされ、この世界を冒険するように出された。レイも同じ。彼も、王の中から生まれた。その為レイに対しては親近感が自然に沸くのだろうか…。

この世界で生きるのは俺にはどうも色々とあるが己を確固にする為の世界だ。生き切って、王の元へ還る。この寿命を全うして…。


俺は自分が一番高揚しているような気がした。今のこの時。気が付いたら、走っていた。観光地を抜けて、海まで走って来ていた。かなり高揚していたようだ。俺が俺として生きている喜びを見出したからだろう。その時に何か周りに迷惑をかけてしまったかもしれない。が、こればかりは許して欲しかった。俺には止められない。語り出すと止まらなくなってしまった。この海の綺麗さでさえ、何か語れそうだ。


この、先に見える不可解なものまでも。


あれは何だ。血、か。

しかし今の俺には何も考えられない。冷静になる時間をくれ…。

少し赤めの海から何者かが起き上がった。そしてこちらに来た。よく見ると周りには誰も居ない。あの事件があって以降からなのだろうか…。俺はここがあの海である事も忘れていたが

「助けて下さい!素敵なお兄さん。海の生物に身体を切られてしまいましたわ。」

俺は様々に施した。気が付くと近くの病院にまでこの女性を抱えて連れて行っていた。

「有難うございます!」と礼を言われ、終わる。

このように何かあるが余り気にしなくても良いのが俺なのかもしれない。流石に「人生」という言葉では俺の生命では無いと思うので別の言葉を探しているが特にピンと来るものが見つからない。

ともかくは今の俺は全てが一応終わっているので観光地に来て揚々としていた。

今度は買い物に行くか。少しだけ足早に買い物に向かった。店内はやはり穏やかで楽しいい感じがある。何やら変わった小物を発見した。これは…監視カメラか?今時可愛い感じでこのようなものが置いてあるのだな…。他にもペンを置くだけでただ丸を永遠に描き続けるような物や声を掛けると「シリアス」と高い声で叫ぶ妙な人形や姫を模った下から飲むようなカップや子供用の大人な行為のようなシーンが描かれてある敷物など、様々な物が置いてあった。変わった品揃えが最近は流行っているのだろうか。こういうのも気が代わっていいのかもしれない。その時にメッセージが来た。

………王からだ


「こんにちは。フリーですか?」


「はい。俺です。王様。」と返事をした

まさか王からこのようなのが来るとは…

しかし認証は出来ないようになっている。連絡先の中としての登録は不可能だ。ただやり取りをするだけのもののようだ。すると返事が来た。


「最近はどうかな?何か、気になっている事はないか。」


最近の事を説明した。

「今の君はとんでもない事になってそうだ。気になって連絡をした。何も無いなら良いね。スバルのアカウントを乗っ取った犯人の事は既に、聞いているのかな?」


すると返事を書く前に王が加えた

「隣人とは目を合わせるなよ。」


その言葉に何やら危険が孕んでいるような気がした。隣人とは目を合わせてはいけない…

それは何となく承知をしていたのだが、実際にこうして言われると危険さを感じる。

隣の者の正体も俺は知っている。恐らく、王もだ…… ……………

どのようにして知ったのかは知らない。何気に「ガクルスが訪れましたか?」と訊いてみたら「いいや。そうか。彼が最近そちらに居たのか。仲はよくできたか?」と返って来たので彼から聞いたは無いようだ。知っているとしたら何で知ったのかは謎だ。しかし王だ。何やら知れるのだろう。流石に何が情報網なのかは俺には分からない。

王曰く、隣人はこれまでに見掛けない程の狂者らしい。誰も彼も近付かないという。しかし、ここで良い者となる今までは問題事の張本人であるとされるスバルが俺を防ぐらしい。彼の念が俺への尾行で隣人から守るらしい。

そもそもスバルが俺を尾けている理由は「大切な者」「居ると困る敵」の二つで認識をしているかららしい。これは何やら俺は彼から本当に大切な存在として認識をされているものだとして俺が出来ている事が出来ていると思えて安心感があった。

隣人は俺の事を何かしらの目で認識をしているらしい。偶然では無かったのか。

それは恐らく俺から感じられる波動のようなものなのだとか。前の事件の時のバゾマイがその理由で俺の事が怖いと言ったものと同じだ。同時に同じくそうとセンタロウへ言っていた。そのような理由からなるものであるという。隣人はこちらに越して来た時に直ぐこの家に対して何かを感じたらしい。それが俺だ。



追々に俺を殺すのが目的らしい



あの家の前は都内のまた別の所に住んでいたらしい。が、仕事が無くなってきた為か職場から遠いがこちらに気分変えに引っ越して来たという。そこで偶々見つけたのが俺だ。

職場は社会の裏であるという予測は正解。人体を保存して何かしらの研究をしている。その対象と俺はなってしまった可能性が高いという。精神病に今は入院をするが帰ってきたら殺しに来る可能性が高い。

ちなみにその者が抱えているとされる精神の病は幾つもあるという。

Tは誤ってそのような闇組織へと生首を送ってしまったという推測は正解。王から聞いたという。そして俺が話をしていた時にも実は王も居たというのも教えたという。怯えたそうだが自分はやはり根の悪い事をしていないので堂々としていたという。

姿形を変えられるその者はそのように特殊な事が出来るので注意はした方がいいという。先日の署でマアサに化けたり、俺とスバルが遭遇した砂の存在はこの者が作ったものだったという。が、やはり余り効果は無い。目的も俺を固まらせるか殺す為などに作り出していたという。砂は実は死人の遺骨を粉砕を何処までもした物からなっている。スバルは感知をしていたがこのように奇妙な事は偶にあるしここ迄の事をしているとは思っていなかったので特に何も気にしてはいなかった。

水浸しになった署の二階が実はその者の潜入地。マアサの署に通う事によって俺への念などを通し易くなる。俺の行動も確認出来るなど。スバルは既に監視をする張本人など居ないと分かっていた。同時に何者かの強い視線を感じていた。あの者のだ。なので本気で海王星へ行こうとしたのかもしれない。しかしそこに王が来た事によって視線の正体は王のものだと勘違い。スバルまで見ていたのは俺と良き関係を築いていると認識をしているから。しかし王に俺は殺されるだとか悪い事をされるという事などあり得ないと悟っていたから素直に自分だけが逃げていたという。それは後に本人からもメッセージで言っていた。そうでは無かったら俺を想って王と戦っていたというのが感じられて俺は出来る事をやれていると感じられる。

火事をした動機は本当にただ空き家を燃やしたかったから。精神病の発動だろうか。

そして……俺が観光地へ行って舞っていた時にも実はその者は



居たらしい



病院か署に居る筈なのが居たのは一瞬だけの外出をしたいと言ったから。それが効いたのもその者の表面に見られている正常さで判断を下されたからだろうという。マアサは後で後悔をしたらしい。今は病院で一度も外に出ていない。

その時の俺を見ていたその者は色々に感じていたという。恐らく、どうやって殺せるかの為に動作を確認するなど。どのような動き方をするのかなど。そうされても俺は俺だ。動き方というものが俺にあるのかは分からない。

そうして後に無理矢理に精神病院へ連れて行かれたという。


こうして長々と王と話をしたのは珍しいな。探索の時にも少しだけの会話が度々あったのみだったので新鮮だが、ここで終わらせなければならない。話は終わった。国の王だ。知人とか連絡先じゃない。


最後に礼を言ってメッセージを終える。

ここの家に居られるのは後少し、か。その前に一旦また家を出なければならない。

メッセージで実は監視人のスバルへ連絡を取ったら守ってやるとの事だ。

身支度をしてスバルの家へ向かう。また、世話になるしかない。彼は綺麗に出迎えてくれた。黒も居た。暫く見ないと思ったらスバルの中で眠っていたらしい。何者かに襲撃される可能性を考えて屋敷の中は騒いでる。

俺も出来る事をしたいと言ったら「お前は休んでろ」と言われた

マアサからメッセージだ。その者の写真が送られてきた。

元の姿は中背でほぼ髪の毛が無い。顔付きも俺とは全く異なる。しかも身体も含めてよく見ると、性別も分からない。男のような、胸も丸く膨らみがあるので女性のような。これで骨格も丸ごと変えて俺に似せたのは凄まじい。

名前はサザナカ・ヨアヒム・キッシンジャー。血筋が我が国の者の他に中国や中欧の者の血もある。性別は半割以上が男だが、三割は女性らしい。妊娠はしようとすれば出来る身体らしい。月のものは、あるのだとか。同時に男性器も付いているので自分自身で妊娠も可能だという。それはまるでセンタロウのように近親相姦で生まれて来る者のような子になりそうな不安がある。

スバルは寝室へと案内をした。そこでいつでも横になれとの事だ。有難く横にならせて貰う。とは言え、そう警戒する事か。相手はこちらの住所までは…何らかの形で知っているかも知れないが中に入るまでは至らないと思う。俺を狙っているのは分かっている。その瞬間を撮って証拠とする。そしたら有罪確定だ。署から出られない。それを狙っているのだが、身の安全はしておいた方がいい。署から抜け出す…などないと思うが、マアサを欺いた。油断はならない。

何か物音がした。落ちる音。スバルにも聞こえたみたいで行ってみるとマイクだった。しかも、あの針のような馬の毛が付いてるものだ。前に構造を分けて在るべきに置いた筈だ。何故あるのか… その瞬間恐ろしい可能性に行き着いた

一つだけでは無かったのだ。そしてこの念が込められたマイクはある者が持ち主だ。


恐らく、その者の。


スバルに説明をした。一緒に身の回りを警戒をする。

このように悪意の籠ったマイクは使用用途は使用する者への攻撃だ。そして、マアサから見せて貰った写真には着ていた服がワンピースだがかなり壊れていた。それはこのマイクの外観と同じようだ。身体に傷跡を確認している。あれはこの馬の毛による傷跡では無いといいな。性別はどちらもという推測からこのように愛らしいと持て囃されるのが好きなのだろうか。マイクは馬の毛の付き方が上の球状との繋ぎ目だったり桃色のリボンも付いていたりする事から女性のような趣味もあると予測。いいや、これは全て憶測に過ぎないが。両性であるが故に男女両方の趣味がありそうな気もする。そしてこのマイクの中を見ると監視カメラが入っていた。スバルが手で潰した。ふと、家の塀からこちらを見ている者を確認した。


本人だ。隣人。


スバルも気が付いた。使用人達に捕まえるように言った。何故抜け出せて来れたのだろうか。悪寒が走った。逃げられてしまったらしい。いや、煙のように消えたらしい。

俺はマアサにメッセージを送った。既読に直ぐになったので安心をしたがそれも束の間。



マアサが殺された



思わず言うとスバルも動きが止まったようだ。

犯人はあの者。警官達も追いかけているが消えてしまって逃してしまったらしい。偽物だったらいいなと考えてしまうが本物のマアサ。牢の目の前で殺害をされて脱走されたらしい。遺体は今、署内で解剖中。Tの病院で詳しく診るそうだ。あの者は一時逃げていった。が、またやってくるだろう。その時は捕まえたい。確実に。皆で見張っている。目的は俺なのだ。監視カメラも潰した。またそのような反応のようなものが見られたら俺達は空かさずに対応をする。スバルが何かを念じているようだ。彼の頭の上に小さな炎が現れた。それは青くなったり赤々しくなったり軈ては緑色になったり暗色になって消えた。「これは地獄界の炎を呼び寄せたんだ。フリーと我が家を守る為ならこれがあれば十分だろう。」と言う。確かに轟々と燃え盛っていたので力強そうな火力に見えた。「本当はこういうのは使いたくなかったのだけどな」

またこの家にやってくる時を待った。しかしなかなかやって来ない。捕まってるなどがあればいいな。

するとスバルが「そこだ」と言い、何かを念じた。屋敷の外に黒色の手が現れた。それは少し遠くへ向かった。少しするとこちらに戻って来た。

「どうした?見つからなかったのか。」とスバルは手に言い、何かを会話しているみたいだが俺には聞こえない。手は波動で会話をしているようだ。そして俺達を二手で丸を作るようにして囲んだ。その時ふと、これは俺が前に九州のスバルの実家に初めて訪れた時の手と同じだと理解をした。俺達を囲んだ手は景色を指と指の間から見えるようにして何処かへ向かう。暫くすると先に博物館が見えてきた。ここに?手は結局、そこに着いた。囲みを放して俺達を外にする。今は夜なので開いていないようだが 手はエントランスをこじ開けた。そして人差し指を作り、方向を指す。行けと言っているようだ。俺達は行くと手は度々指を刺して方向を指示するようなのでその通りに進んで行くと目の前に一層絢爛な扉が現れた。手がその鍵を開けて扉を開けた。すると中は一層豪華な展示室だ。あまり見られる事の無い展示品ばかりで目を奪われる。その中の絵画で妙なのを発見した。


……動いている

この絵画は動いているのだ


スバルに小声で呼ぶと察したようだ。

女性が小ぶりなサーカスの台で踊っている様子が描かれているものなのだが、その女性が動いている。手足が震えている。

するとその女性がこちらに顔を向けた。手をこちらに伸ばし、絵画から出てきた。

「これは中に入った方がいいと思う」とスバルが言うのでされるがままに手に掴まれ、中に吸い込まれた。

すると俺達はサーカスの中に入って来たみたいだった。辺りは観客達が大勢。その客席は円のようになっていて中央が踊りをする女性…あの絵画の女性だった。

綺麗な舞を見せる。手足を自由に折り曲げたり伸ばしたりして美しい動きを見せる。その時、横から何者。拳銃を持った男性が現れた。踊り子の女性にそれを向けた。場は悲鳴が舞った。女性は「どうぞ。私は何とも有りません。」と言う。その時に客達はこれは芸の一種かと安心をした。

違う。俺にはそのようには見えなかった。

スバルも何か悍ましく思ってる。

男が銃を女性に向けて発砲すると女性は流血、倒れてしまった。するとまた場が騒ぎになった。その時、男はこちらにも拳銃を向けた。俺達だ。俺達に構えながら女性に近付き、倒れている身体を抱き抱えた。すると女性は男性の中に吸収された。男は容姿が変化をした。着ていた紳士服が全て脱がれ、全裸になった。上から髪の毛はほぼ無しに。胸は膨らみ、男性器があり、体格的にはがっしりとしている。


……あの者だ

隣人だ


すると場が時が止まったように固まった。あの者だけが動いている。こちらに来る。

そして「かんじし かんじよ」と言った。

感じる、という事だろうか?

もう一度こちらに拳銃を向けた。発砲するようだ。俺達は己から身を守るものを作る。俺は両手で気を平らに分散させ、気の壁を作った。スバルは地獄の炎だ。しかし彼は今にもこの者も燃やしてしまいたそうな気がした。その時、後ろから声がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る