二年A組教室の窓際で 視点――篠山 美緖
高校二年のクラス分けというものは進路によって決められるのが一般的である。
私「
と、話は逸れたけど
目的は、六海ちゃんが同じクラスだと言っていた「あの子」に会うためなのだ。
「お、Heyらっしゃい」
教室の前で私が挙動不審にキョロキョロしているのが目についたのか六海ちゃんが寿司屋の大将さんよろしくなHeyが特に印象に残る挨拶でお出迎えしてくれた。相変わらずビシッとスラックスズボンの制服姿が様になるんだよなぁ六海ちゃんは、たぶん飛竜部の女子で一番カッコよくスラックスを履きこなしてるのは六海ちゃんだと思う。背も180Cmもあって完璧で――いやいや、六海ちゃんの話にも逸れて行っちゃったら収集つきませんから心のお口はチャックッ。現実のお口を動かして本題に入りますよ。
「そ、それであの子は?」
「あぁ、いるよ。ほらあそこ、端っこの窓際席に座ってる子がそう。たぶん間違いないと思うよ」
六海ちゃんが目線を向けて教えてくれた先にいたのは
「そ、それじゃ、行ってきますッ」
「はい、いってらっ。なんやかんやヤバそうになったら助け舟を漕いで向かっちゃうよ。ストーンレスキューサービスにおまかせあれってね」
六海ちゃんなら舟をサーフィンさせながらやってきそうだけど、なるべくその
よし、行け
「――……ぇ?」
と思ってたらこっち振り向いてきちゃった。なんか真顔で前髪で隠してるけど視線がめっちゃ見上げてきてるッ。いや落ち着いて落ち着いて、別に気づかれないように近づくつもりじゃあなかったんだから、このまま自然に、ナチュラルに声を掛けて、はいっ。
「あなた『
「???……?」
めっちゃ「何いってんのこの人?」て感じに微動だにしないんですけど。あれえぇっ、石川さんで間違いなかったよね? 六海ちゃん言ってたもんねッ!?
「ん……石川」
あ、短いけど応えてくれたのかな。これは石川さんて肯定してくれてるて事でオーケー?
「石川で……いい」
よし、肯定ッ。石川さんで間違っていないっ。えと、次の会話の糸口は――。
「……なんで?」
「ぇ?」
「用事……?」
幼児?……いや、用事か。私に用事ですか? て、ことだよね。そうです私があなたにご用事です。よし、せっかく掴ませて貰った会話の糸口、無駄にはしないんだからっ。
「私、B組の
よし、軽く自己紹介からもっと会話を広げてけ美緖。素直に言葉を伝えていくんだ。そうさ百%の勇気が勝利の鍵なんだからッ。
「私、あなたに興味があるのだよん」
「……ㇵ?」
ん……――あれ……いま、私はなにを口走った? 明らかに石川さんが困惑な顔してるのが表情が見えなくてもわかるんですけど。ん、噛んだトチった、失敗しちゃった!?
「その私、名前が
「……知ってる」
うん、そりゃそうだよ私さっき自己紹介したじゃん知ってるよそりゃ。し、仕切り直すんだ
えーと、伝えかった事のひとつは、コレだッッ。
「そう、凄く男の子っぽい名前なんだけど石川さんもそうなんでしょ?」
「……ㇺ」
あれ、なんだろうか空気がピリッとしたような感じがする……。わ、私なにか凄く気に触ること言っちゃったかな。
「おーいシゲチー、お話中悪いのだけれどちょっとよろしいかい?」
後ろから少しハスキーでイケメンよりな女子の声が聞こえてくる。もしかしなくても、私達に声をかけているんだよね。絶対、困ってる石川さんを助けるための声だよね。
「ん……その」
「あ、いいのいいの、ゴメンね変なこと言って」
石川さんの声が申し訳無さそうに伝えてくる。いや、今回は私の配慮が全然――。
「――その、変……『嫌い』……だから」
嫌いッ!? 私キラワレチャッタのッ!!?
放心とする私の肩を気づけば六海ちゃんが叩いていた。
「ごめん、なんか助け舟に行こうにも……」
「いや、いいの、テンパっていろいろ台無しにした。私が悪いんだから……アハ」
さようなら、石川さん。もう関わらないから、安心して……あれ、なんで私は石川さんと仲良くなりたかったんだっけ、もうなんか涙目で目の前が見えません。
休み時間が終わる
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